2022年11月15日

薪ストーブのサウナ小屋

小春日和の元、サウナ小屋が完成し、
クライアントから素敵なお言葉を頂いて感悦した。

ロウリュー式の薪ストーブのサウナと
ジャグジーがあるミニマルな休憩小屋。

tucasa_villa sorriso_1329_R.JPG歳月を重ねてなお、
味わいを深め愛着を増す建築。

僕たちは本能的に自然の生命力を感じ取り、
本物に出会った感動が記憶に残る。

生命は生命からしか生まれないという
自然の摂理は、進化論の真髄でもある。

tucasa_villa sorriso_1326_R.JPG空間の形状は、土地や気象条件によって
限りなく変化する。

屋根の形状そのままの天井は、
家の象徴であり威厳である。

すでにある材料を上手く使いこなし、
違う風景に仕立てていくと
そこから新鮮な表現が生まれてくる。

tucasa_villa sorriso_1499_R.JPGそのアイデアを貫く信という経糸と
職人、素材への愛という緯糸で
様々な模様を出す。

経糸と緯糸はどちらが欠けても
布は織り上がらない。

昆虫や人体と同じく、
必要な部分だけが集まって、
全体を生き生きと形作っている。

tucasa_villa sorriso_1418_R.JPGそれは無意味なものの創造的排除と
単純化の過程でもある。

海を見渡す敷地は地山そのもので、
掘削が困難なほどの岩盤である。

そのかけがえのない自然の土台に、
断熱で包んだ基礎の耐圧盤を置き、
その中に床暖房を布設した。

tucasa_villa sorriso_1334_R.jpg寛いだ気分を味わうには、
室内環境の快適さが不可欠だ。

陽と風と雨が創り出した
床のほっこり感は、
今も僕の足の裏が覚えている。

岩盤浴の建築は自然の優しさを享受し、
時に自然の厳しさを英知でいなす。

tucasa_villa sorriso_1358_R.JPGその建築的工夫の数々は、
僕の建築の集大成となった。

上空ではいつもトンビがピーヒョローと
鳴いて旋回していた。

人は古来、鳥との繋がりから
新たな土地を見つけ、
花鳥風月の世界へと誘われた。

どんな状況になっても人を慰め、
明日の希望を持たせてくれる
仏の微笑に似た建築でありたい。


司建築工房

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2022年02月22日

内在の建築

地球の未来を憂慮しつつ、全世界のニャンコに捧ぐ。
この冬、一つのプロジェクトが竣工した。

楽しい色と形があって、大きめのテレビを
ソファに腰掛けて観賞できる空間を施主は要望された。
全体の色調は、白、赤、グレージュだと云う。

ありきたりや一度やったことの繰り返しでは退屈してしまうから
毎回可能な限り、虚仮の一念で新しいことに挑戦し、
絶え間なく創意工夫を凝らす。

tucasa_villa materia_8083s_R_R.JPG今回は内在の建築。
ラテン語で物質を意味するmateriaは
母materから生み出される。

内在する物質の輝きによって、
宇宙を表現するゴシックの精神だ。

既存の建具と動かさざる構造体のフォルムを生かして、
必要寸法を確保しつつ、湧き出てくる形態から
主題めいたものが現れる。

tucasa_villa materia_8250s_R_R.JPG縦横に引いた直線から生まれる形に
奥行を与え、秩序感覚を獲得していく。

形が90度に連続すると
四面に異なった景色が展開し、
主題を奏でる。

tucasa_villa materia_8232s_R_R.JPGイタリア磨きと多種多様な和紙によって
東西文化が共存する。

文化に優劣はなく、
個性の価値は等しく尊重される。

古来より日本人は、外来の文化を
日本文化と共存できるように造り変える
知恵を持ち合わせてきた。

tucasa_villa materia_8107s_R_R.JPG生み出された形態を壁や床、
テーブルスタンドへと変奏し、

陰影と色彩とマチエールを
互いに関係づけ、

ソファなどテキスタイルと共に
空間の調和を高めていく。

その発酵の過程は、僕の貧困なる生涯の中での
幸せなひと時のひとつでした。

tucasa_villa materia_8093s_R_R.JPG僕は出来た空間に佇んで
「赤と金色のノクターン」と
心の中でタイトルを付けた。

お施主に新鮮な楽しさや
建築好きの滋味が伝われば嬉しい。

ハイドンの音楽のように
アノニムな建築をつくりたい。

そして建築のプロである前に
永遠のディレッタントでありたい。


司建築工房

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2021年09月06日

漣痕(れんこん)の建築

コロナによる行動制限もかれこれ2年になろうとしている。
不自由に直面して、自由の尊さを知る。

「失ったものを数えるな。残されたものを最大限生かせ。」
という金言通り、選手たちの純粋なひたむきさと
ライバルを心からリスペクトする姿に心を揺さぶられた。

引け目を感じず、堂々と自身をさらす潔さは、
絶望を知っているからなのだろうか。

自分と全く違う異なるものが存在することによって、
自分も存在することができる。

家族同様の運命共同体である職人たちと
この夏、二つのプロジェクトが竣工した。

tucasa_villa ripple_7142s_R.JPGその一つが、利便性に長けた
都会の別荘としてのレスタウロ。

変更できない元のインフラと
構造に忠実であることと
その中で自由を見出すこと。

施主の要望の中に、栃の木を使いたいというのがあった。

tucasa_villa ripple_7200s_R.JPG自然の生命力を取り入れたいという
本能的な希求のように思えた。

栃を探す中、出会った
杢の飽きることのない立体感と奥行が、
アイデアを与えてくれた。

漣痕の建築。
自然は実に様々な表情を見せてくれる。

tucasa_villa ripple_7160s_R.JPG生命は常に動き続けているからこそ、
力を持ち続けることができる。

動きと動きが呼応し、
形と形が響き合う。

直線の中に優美な曲線と波紋を描き、
存在する。

違ったアングルから見ると、
対象も違って見え、

日本で育った樹木の多様性の価値も味わえる。

tucasa_villa ripple_7130s_R.JPG木出し寸法や面の選定と
パターン、線は、現場で最終決定した。

決まりと自在という、
相反するものを臨機応変に対応する
能楽師に想いを馳せ、

汗にまみれた充実の夏でした。


司建築工房

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2020年07月16日

20th Anniversary exhibition


TUCASA HOMES
20th Anniversary Exhibition
from July 15.2020_casa effe

弊社ホームページ Works に掲載しましたので、
ご高覧下されば幸いに存じます。

司建築工房

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2020年07月15日

司建築工房20周年

本日7月15日をもって、
創業20周年の節目を迎えることができたことは、

僕に建築を任せて下さったお施主様と
僕を信じて仕事を請けてくれた職人さん
お一人おひとりのお引き立ての賜に他ならない。

今後も信頼する職人と現場で対話しながら
誠実にいい建築を生み出せれば幸いだ。

tucasa homes_6921_R.JPGレコードが主流だった70年代の音楽は、
今聴いても色褪せることなく心に沁みる。

そんな建築を残したい。

傑作はどんな分野でも鏡である。

「仕事は一瞬、お施主様は一生」
これは独立時からの理念である。

「一棟一生」

今は独立した時より、健康でいることに気を使うし、
仕事時間も減った。

tucasa_casa effe_3519s_R.JPGけれど、弦楽器の習得のように
継続してきた今だからこそ
作れる建築がある。

そして今やっている仕事にも
未来が描かれている。


司建築工房

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casa effe のレスタウロ 3

雨続きの日々、今朝
久々の陽射しに身体が喜んだ気がする。

蝉たちも梅雨明けが待ちきれないようだ。

casa effe の現場では、
仕上げ工程、養生はがし、掃除と
1か月間切れ目なく没頭した。

毎回必ず初めてやる面白さを味わうけれど、
半年前に思考して想像した通りのモノが今、
職人の技術によって形になった。

tucasa_casa effe_6737_R.JPGただ床の装飾だけは、
基本の考えと材料寸法を基に

即興演奏のごとく、
その場でラインを決定して、
職人と共に生成された。

ここでも大工工事と同様、
間竿と基準線となる墨出しが肝となる。

僕はチェロを弾くんだけれど、
音程は、ある音から次の音への距離を
自分の身体に染み込ませることによって作られる。

tucasa_casa effe_3451s_R.JPG1ミリズレるだけで、
真の響きは生まれない。

音程がピタッと合った時、
楽器全体が共鳴する。

この時、元の音の音程が正確であることが前提だ。

これは捨て切りから始める大工仕事でも
床の装飾でも同じだった。

この1ミリをどう考えるかによって音楽が決まるように、
1ミリを合わせようとする執念は、建築も同じだ。

ピタッと合った時、建築は共鳴する。

tucasa_casa effe_3468s_R.JPG今回の casa effe は、
弦楽器のF字孔のことである。

共鳴した音が
このF字孔から解き放たれる。

先人達が最終的に
effe の形にしたことは興味深い。

僕の仕事は、手間は掛かっても
出来た時の感動があるし、材料のチョイスも参考になる。
そう職人が云ってくれた。

すべてを壊して作れば費用も掛かる。
元の部分を残しながら新たなデザインに取り込めないか。

tucasa_casa effe_3481s_R.JPG既存の巾木と方立、鴨居のライン、
既存の長押と新たな幕板のラインを
デザインに取り入れた。

お施主さんの好きな色をベースに、僕の中では、
シ・ミ・ラにb(フラット)が付いた音色にした。

後で、俵屋宗達の
風神雷神図屏風の色遣いだとふと気づく。

今は、お施主さんの琴線に触れることを願って。。。



司建築工房

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2020年06月02日

casa effe のレスタウロ 2

毎日大工さんとのモノ作りの充実感で、
現場に行くのが楽しみになっている。

tucasa_casa effe_5245_R.JPG僕がいることで、原寸墨と間竿作りは
図面寸法の読み違えがないし、

木を重ねる作り物の木出し寸法や
見せる木肌面の決定と組み方、

接着の判断等詳細に亘って
大工さんが悩むことがない。

土台の水平をピン真っ直ぐに作ることが、
その後の仕事の良し悪しを決める肝となる。

一分程度の壁の不陸を読み取り、
壁との取合部分は最終の削りシロを見込んで、
あくまでも矩に作ってゆく。

tucasa_casa effe_5453_R.JPG墨を追っていくと多少の伸びが出る。
その微妙な誤差を
指矩や自由金で写すのだけれど、

一辺は真っ直ぐであることが前提だ。

材料の細部の接合には導突きとノミを駆使して合わせ、
墨と照らし合わせながら、五厘以下の取合部分を
経験と勘で削りつけピタッと合わせてゆく。

落語にケチリンという毛一厘を縮めた言葉があるけれど、
納得いかないと次に進めない。
よしっと決めるのは自分のプライドだ。

tucasa_casa effe_5480_R.JPG面同士の目違いは、カンナを引いて一つにする。

カンナで引いた木肌は、
プレーナーの超仕上げとは
比較にならない艶が出る。

それは外の景色が映り込むほどだ。

組み上がって壁に吸い付けたとき、
矩を一つ一つ合わせてゆく丹念な積み重ねの末に
生まれた新たな形から、精神性が胸を打ってきた。

tucasa_casa effe_5515_R.JPG誤魔化さず逃げず、気を遣って、
作ってきたことを傍で見てきたからだろうか。

横板の手前と奥のラインがピタッと重なる。
まるでカンナの刃口と刃先の
わずかな出を見るかのようだった。

大工さんはその手仕事の成果を眺めて、
どこにも苦になるところがないと
満足気な表情を浮かべていた。

経糸と緯糸をコツコツ編んでいる時は気が付かないけれど、
離れてそれを眺めると素敵な着物が織りあがっていたかのように。

一つ一つの家具たちは木の命を頂いて、
僕ら作り手のこだわりが加わって、
新たな一生が始まるのだ。

tucasa_casa effe_5691_R.JPG修行して身に着けた日本の大工技術に、
僕は畏敬の念を覚えてきた。
特にカンナの調整には頭が下がる。

刃の研ぎ、台、刃口、裏座の調整、
すべてが揃わないと
あの薄削りの艶は現れないのだ。

刃自体も辛くないと
いくら研いでも切れ味は良くならない。

カンナは刃の状態がそのまま木に写るから
手が抜けないと言う。

今のご時世、SNSで
植物や花の投稿に心を惹かれる自分がいる。

その生命力、造形の妙を日頃肌で感じ、
想像力が湧き上がり、本質に近づいてゆく。

tucasa_casa effe_5809_R.JPGすべてを惜しみなく、納得のいく
いいモノを作りたいという心意気が
大工さんに伝わる。

今こそ前向きなエネルギーを
提供すること。それが
建築の本質的な役割ではないか。

永六輔は、カンナ屑なんて云っては勿体ない、
削り花だと。

大工さんが削った寸六の削り花を持って帰ろうかな
と言ったら、恥ずかしいと取り上げられた。

どこまでも謙虚な人なのでした。

つづく。


司建築工房

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2020年05月20日

casa effe のレスタウロ 1

季節は立夏も過ぎ、陽気が天地に満ちる小満だ。

日々の愛犬との散歩がてら、
花の移り変わりと鳥の声に癒されながら、
草木の生育の早さを実感する。

5月20日はWorld Bee Dayでもある。

桜と菜の花が咲き始めた頃から
ミツバチも活動を始め、

ミツバチは世界の食料の9割を占める100種類の作物種の
7割の受粉に役立っていると云われる。

僕ら人間はミツバチなどの花粉媒介者のおかげで
食料を得ているのだけれど、

経済活動や開発による気候変動によって、
2007年頃から世界中のミツバチが激減しているのだ。

今世の中は新型コロナウィルスの感染拡大で、
経済活動の停滞を余儀なくされているけれど、

移動の制限が、温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を減少させ、
化石燃料の使用削減になり、自浄作用のように
地球を一時休めているように思える。

こうでもしないと、人類はかけがえのない地球を失いかねない。

自粛という自宅で過ごす日常の中で、
何が本当に大切なものなのか、
生き方を再確認するチャンスでもある。

さて、以前のお施主様から中古住宅購入を検討している
同僚の相談に乗ってほしいとお声を掛けて頂いたのが昨年の10月。

tucasa_casa effe_4485_R.JPG鉄筋コンクリート造2階建で、
外壁にクラックがなく、

外部のメンテナンスと内部に手を入れれば、
資産としては一定の価値があると思われた。

中古住宅はしばらく放置されていて、
掃除から始めた。

床も窓ガラスも雑巾が真っ黒になり、
掃除を終えたところから
養生をするのだけれど、丸5日を要した。

tucasa_casa effe_4512_R.JPG解体工事を通じて、鉄筋コンクリート造は
想像以上に頑丈に造られていた。

新たな空間の電気配線は、
既存の配線経路を結線部分から読み解き、

エアコン電源等は分電盤まで
配線を通さねばならないのだけれど、

一つも露出することなく、納めることができた。

tucasa_casa effe_4612_R.JPG今大工さんと毎日現場で
楽しい時間を過ごしている。

カンナやノミの研ぎをはじめ
道具の数々を万全な準備を整えて
現場入りしてくれた。

tucasa_casa effe_4765_R.JPG僕の仕事は、下地や材料の詳細図や
原寸大のモックアップを製作して、
大工さんが迷う時間を減らすこと。

建築はすべて
一本の基準線から出来ている。

特に床の水平は大事で、不陸のあるレスタウロは、
レーザーで基準線を墨付けることが肝心だ。
左右のレーザーが墨付けにピッタリ合うこと。

鉛筆の幅だけでも違ってくる。

tucasa_casa effe_4806_R.JPG原寸図を描いて、間竿を作ると、
スケールのような読み間違えがない。

仕上げを想定した下地と
取付の段取りを考え、

モノを当てがって写し、加工し組立てていく。

モノに合った様々な道具を駆使し、
作業台、敷物も変わる。

tucasa_casa effe_4845_R.JPG部材同士をピタッと納めるこだわり。
カンナの一振りが多いだけで
微妙に空いてくる緊張感。

何度も部材をあてがい、
指先の感覚を研ぎ澄ます。

神は細部に宿るというけれど、
面取りでさえ気を遣って
作ってくれているのが有難い。

誠実な心意気は、中古住宅を全く別物に変え、
形作られたモノに宿った精神性を実感する毎日だ。

ディズレーリの言葉が心に響く。
誠実にまされる知恵なし。

つづく。


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2019年12月31日

Goodbye 2019

今年も年の瀬の季節感を満喫している。

tucasa_3892_R.JPGハナミズキの落ち葉を拾いながら、
葉っぱ一つひとつにも色んな色があり、
一つとして同じものはなく、

赤や黄色のグラデーションも
色の境目がなく、自然は飽きることがない。

葉山の山口蓬春邸で芽吹いた
イロハモミジの苗木を頂いてきて3年が経つけれど、

拾った落ち葉を敷き詰めた景色の中に
イロハモミジがドウダンツツジに負けじと色づいた。

tucasa_4047_R.JPG今年も良き香りを嗅ぎながら
庭に実った柚子を収穫してジャム作り。。。

今日の大晦日に想う。。。

令和という新しい時代の幕開けは、
身体にメスを入れることから始まった。

これまでの過労気味の日々を振り返り、
仕事について人生についても
考える機会を与えてくれた年だった。

2019年は、おかげと建築の楽しいアイデアを沢山考え、
チェロの上達も実感できて、
心掛けの積み重ねの日々はとても充実していた。

先日の僕の誕生日には、手料理に生演奏に
心温まるホームパーティをしてくれて、
僕もチェロを弾いて、思い出に残る夜だった。

その時作ってくれたカポナータは格別で、
今日のランチは、残ったカポナータを
そばクレープで包んだ。

中でも今年の一大ニュースは、
新しい家族が増えたことだ。

殺処分ゼロを掲げる、名古屋の動物愛護団体の
譲渡会をきっかけに良きご縁があり、
愛犬との生活が始まった。

tucasa_4082_R.JPGヒューマンライクな眼差しと仕草。
そこに人間のような裏表はない。

かけがえのない信頼関係には、
さほど時間を要しなかった。

愛犬の存在が、これほどまでに
我々に精神的な癒しを与えてくれるとは
想像もしていなかった。

朝夕の散歩(排便)を含め、愛犬を思いやることが、
適度な運動と良き生活リズムをもたらした。

朝焼けのグラデーションの美しさ。
月に一度、朝西の空に満月を眺める。

夕焼けもまたしかり。

雨ニモマケズ、風ニモマケズ。。。

かつて人間との共同生活を選んだオオカミも
そして人間も、生き延びるために集団の絆を重んじてきた。

従順な交配を重ね、オオカミの子供の状態を受け継ぎ、
信頼関係による共生の長い歴史の中で獲得した、
犬のネオテニーな柔軟性を持った能力を実感する日々だ。

2020年は、独立して20周年を迎える。

来年も自分の気持ちに正直に、
自分らしく仕事も生活も楽しみたいと想っている。

かけがえのない惑星、地球で
人生のプレイヤーたれ!

司建築工房

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2019年09月02日

casa anima HP UP

先日完成したばかりの建築を
色んな方向から味わってみた。

既存を残しながらの改築というものは、
カオスに形態と規範を与えて、
秩序ある宇宙を作り上げることである。

tucasa_casa anima_3272_R.JPG時間の連続性を表す真壁柱と共存する、
今回新たに生み出された、
立体感のある柱の初々しさを見て、

かの大和朝廷以来、
二十年毎に式年遷宮が行われる
伊勢神宮のことが思い出された。

そこでは、歴史の古さが尊いのではなく、
不変の新しさこそが重要で、

縄文時代からの竪穴住居の掘立柱や
弥生時代からの高床住居の棟木柱、
古墳時代の反りのない垂木など、

自然の中に作り出された原初的空間としての
永遠の新しさが保たれた聖域だ。

古代の自然崇拝、樹木信仰を基盤として
大地に根差した心御柱は、永遠の生命の木でもある。

tucasa_casa anima_3285_R.JPG今回完成したこの建築も
大地からエネルギーを得て、

地上に幹と枝を伸ばし、
日々の暮らしを護る
生命の木に見えなくもない。

ダーウィンは、生物の進化を
生命の樹と呼んだけれど、

一つの共通先祖から多様な進化を遂げたように
この建築も無限の形態を生じる可能性を秘めている。

生物の進化は常に、先祖の持っていた性質を
改変させながら進む、不完全な適応だった。

僕はチェロを弾くんだけれど、弦楽器には
弦の振動を裏板へ響かせる魂柱が立っていて、
それが音に命を吹き込む。

弦楽器の生みの親イタリアでは、
animaと云うらしい。

アニマル、アニメーションの語源でもある。

今回の建築は、casa anima にした。

僕に仕事の機会を与えて下さったお施主様、
ご家族様に感謝を込めて。

司建築工房

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