2016年10月21日

家具が生まれる現場

金木犀の薫りを風が運んでくれる秋の現場では、
日々大工さんが造作家具を手掛けています。

1477015816.jpg床と壁と天井で囲まれた空間を
創造するだけでは、

施主のことを考えた
建築家としての仕事とは言えない。


施主が望む以上の、機能的で快適な暮らしを提供したいから

考え抜いた寸法で、
内部造作も家具も一貫した文法による
素材とデザインで設計してある。

この現場では22個の家具が作られるのだけれど、
家具は建築と調和したものでなければならない。

そして照明も壁と天井と一体化してその一部となるだろう。

1477015701.jpg僕は、しょっちゅう現場に出向き、
大工さんのそばにいて、
完成形の納まりを助言している。

傍らで大工さんの仕事を見ていると
ひとつの部材ごと、水平、垂直、際を揃え、
強度と美しい仕上がりを考えながら、

ひと手間ひと手間作り上げていく仕事に
有難さで胸がいっぱいになる。

1477015744.jpg生命力のある素材で統一された現場では
職人さんも魅力的だ。

内部空間と全ての家具が調和した生活は、
素材への美と尊厳を感じ、自分たちの環境に
誇りと感謝を抱くことだろう。

1477015783.jpg

今、ソファと椅子の張り生地を海外から取り寄せて、
世界にひとつのソファと椅子を製作する。

誠実な仕事が誠実な環境を生み、
誠実な人の人生を助けるのだ。


司建築工房

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 大地の樹木 本物の素材 火のある生活



posted by Koji at 11:11 | TrackBack(0) | 現場

2016年10月06日

現場はモチベーションの源

人が愛着を持つのは形あるものだけではない。
感動しながら描いたアイデアこそ愛着がある。

CADからアイデアが生まれるわけではなく、
敷地を取り巻く環境から生まれてくるのだけれど、

大陸の山の中腹にある高低差に富んだ敷地には、
直角ではなく斜めのグリッドで作り出される建築が馴染むと直感した。

1475746177.jpgそしてプランを練り上げ、
構造から工法など、
自分の考えた建築が、

海外の地に海外の職人の手で、
おおかたのフォルムが形作られた。


1475746003.jpg鳥が自然に歌いだすように
素直に自己をゆだねていると

色んな場所からこの建築を眺め、
感動の波が打ち寄せてくるのでした。


1475745839.jpg職人さん自らが、
清浄な山でしか採れない

風の音と朝露だけで育つ
貴重な食材を採取し、
差し入れてくれたのも感動した。

皆で囲んで、秋の平穏な気で満たされる。

食事を共にしながら監督さんが、
こんな面倒な建築はこれが最初で最後だ。

1475745922.jpgでもこの建築が完成したら、
めったに見ることができない
美しい建築になる。

個人的な物件でなければ、
何かの賞がもらえるのは
間違いないだろう、と云った。

またある方が、シモサカサンの芸術作品は
お金では買えないものだ、と言って下さった。

1475748499.jpgこういった言葉こそ僕にとって
お金では得られない価値がある。

関わる人たちから愛情をかけてもらえること、
慕ってもらえることは、異質の喜びだ。


そう、僕はお金で買える建築には興味がないのだけれど、
この愛する建築はここからが面白い。

1475746090.jpg五角形の屋根を葺き、外部に石を積み、
多角形の内部に木を張り、
石を積み、土を塗る。

そして土で床暖房を作りながら床を仕上げ、
建具や家具をすべて木でつくる。

ストーブと煙突もつくだろう。

1475745738.jpgここにこのまま滞在して
しょっちゅう現場にいたい気分だけれど、

納まりも作り方もお伝えしたから、

監督さんはじめ職人さん達に
引き続きお願いして、

この度の経験で得た
秋の収穫を持って日本に戻ります。

1475746277.jpgまた来月の現場を楽しみに。

この建築が完成した時、
大自然の延長として生命感のある

魂の愛を語りかけてくるとすれば、
それは作品と呼んでもいいかもしれない。


司建築工房

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posted by Koji at 20:05 | TrackBack(0) | 現場