2017年04月15日

イロハモミジとの旅2

旅のお供、葉山のいろはもみじは
舞台正面の座席の僕の足元だ。

ナタリーデセイをコンサートホールで聴く
いろはもみじもそうはいないだろう。

私は歌う女優です、と云うデセイ。
今回は様々な個性を持つ女性たちの恋を歌う。

音楽の流れや言葉のつながりまで何度もリハーサルを重ねて
熟成させたプログラムとのことだ。

よく楽器の演奏で歌うように弾くっていうけれど、
音楽の流れに言葉を乗せて心を表現する。

外国の言葉はわからないけれど、歌い始めると
ガラッと世界を変えてしまう。

絵画でも工芸でも建築でも
画像と直接観ることの違いは
あまりにも大きいけれど、

空気を伝わって直接響いてくるデセイの歌声は
異次元のものでした。

コロラトゥーラの華麗な技巧もさることながら
ピアニッシモの繊細で伸びやかな歌声は圧巻だ。

僕は、フィフス・エレメントの中でオペラを歌う場面の
ブルース・ウィリスのあの表情が頭に浮かんだ。

いい演奏にはいくつかの要素があると思うけれど、
一番は音そのものの美しさだと思っている。

デセイの歌声そのものが美しい。
日本的に言えば人間国宝だと感じた。

それとピアノのフィリップ・カサールが良かった。
最初のモーツァルトから引き込まれて、
まるで言葉を歌っているような演奏だった。

音楽を肌で堪能した特別な夜でした。

houshun 232_R.JPG筋書きのない旅は
まだまだ書きたいこともあるけれど、

いろはもみじは
僕のアトリエの木陰で
ひっそりと佇んでいる。



司建築工房

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 大地の樹木 本物の素材 火のある生活


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イロハモミジとの旅

アトリエの窓からは桜が輝き、鳥が歌う。
庭の木々の枝には芽吹いた若葉が萌える春。

houshun 037_R.JPGこれからある芸術家の
アトリエ兼自宅の設計を控えていて、

ナタリーデセイのリサイタルのため
上京する機会に
葉山の山口蓬春画室を訪ねた。

僕が勝手に師と仰ぐ吉田五十八の1954年の建築なんだけど、
長い年月の間に手が加えられていたのを
つい最近、原設計に復元する改修が行われた。

1940年祖師ヶ谷に建てられた旧山口蓬春邸は、
作品集を眺めるだけで、残念ながらもう現存していない。

houshun 153_R.JPG常に新しい時代の表現を求めた
同窓生の蓬春との建築は、
さぞ楽しく仕事をされたのではと想像する。

筆洗場や隠し戸棚、ガラスの飾り戸棚、書庫など
徹底した緻密さで構築した機能性と

建築美学を表現した画室は、
庭のいろはもみじの緑で照らされていた。

建築は元の場所でのみ正しく鑑賞され、
空間体験を通してのみ正しく建築家の意図を汲み取ることができる。

houshun 142_R.JPG花々が咲き匂う葉山のお庭では、
いろはもみじの花が咲き、

翼の種が風に運ばれ、
春に芽吹いた葉っぱが
地面に顔を出している。

僕は以前よりアトリエの庭にもみじが欲しいと思っていた。
それも小ぶりな葉っぱのいろはもみじが好きなのだ。

庭を管理されている葉山のおばさまが
「お持ちになる?」と声を掛けて下さった。

houshun 145_R.JPG根付かせるにはもう少し
根が張ったものがいいからと

運良く?草取りされずに残った、おそらく
発芽して3・4年目の若木を頂いたのでした。

思いがけず縁あって旅のお供が増えた。
とりあえず根っこをティッシュで包んで、細長い葉っぱで縛って。

磯の香りの風が心地よいバスに揺られて
軒先に吊るされたワカメと満開の桜を見送った。

houshun 173_R.JPG銀座並木通りのサンモトヤマを訪れるため
銀座風月堂でお茶をしていると

入口でお持ち帰り用のお菓子を
販売されている店員さんが、

お店で使っているというプリンのカップと
手提げ袋を持って来て下さった!

感動してしまいました。

接客マニュアルがあるわけはなく、
カバンから顔を出したもみじを見られてのこの心配りは、
海外から評価されるまさに日本のおもてなしでした。

お蔭でお水を常に浸すことができるようになりました。

「またお越しください」と笑顔でお見送り下さったのでした。

司建築工房

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posted by Koji at 19:40 | TrackBack(0) |