2018年06月30日

チョイ住み in paris 1

久しぶりのパリは、様々な歴史と文化の宝庫で、
全てを味わうには一生では不可能かと思えるほどだ。

セーヌ河の中洲、サン=ルイ島にチョイ住みして、
パリの中の古代、中世をテーマに
許される時間を過ごすことにした。

tucasa_paris_1907_R.JPG窓の外に身を乗り出すとセーヌ河が見える、
5階建て+屋根裏部屋のアパルトマンの
5階で、コンパクトだけど機能的なパリ生活。

キッチンに換気扇はないけれど、
洗濯物は窓際に干しておけばよく乾く。

窓際の天井が屋根勾配のフォルムを作って、
窓からは、通りを挟んだ向かいの灰色の板金屋根や
茶色い土管の煙突も間近に見られる。

朝になると窓を開けて、陽の光を浴びて
下の通りの様子を伺うマダム。

映画「裏窓」のように人間ウォッチングしてしまう。

1665年に建てられたというこの建物の
窓の外や屋根の水切りと樋はブリキだ。

朝の清々しい空気を感じて散歩がてら、
朝8時に開く八百屋とパン屋で買い出しした。

ムッシュ、今日も良き一日を!といつも声を掛けてくれた。
ここではロボットのようなお声掛けの違和感は全くない。

アパルトマンの螺旋階段の真ん中に
上手いこと設置されたエレベーターを挟んで、
お向かいに暮らすパリジェンヌとも挨拶を交わす。

玄関戸など当時のものは新しいものに変えてはならず、
高さ制限の規制緩和以前の17世紀の街並みの景観を保っている。

tucasa_paris_1383_R.JPGサン=ルイ橋を渡ると、シテ島の
ノートル=ダム大聖堂の後陣が見えて、

石の天井の重みをフライングバットレスという
アーチ状の梁で支えるゴシックの外観に
異国情緒を感じる。

内陣を東に向けるのは、ケルトよりはるかに古い
巨石文化に続く、土俗的な太陽信仰が根本にあるけれど、

傍を通ると雨樋のガーゴイルがユニークで
思わず足を止めてしまう。

細かい浮彫や線の表現と古代のヘレニズム的人像や
タンパンも尖頭アーチだけれど、
他民族に由来するモチーフのロマネスク的彫刻も混在している。

これらがパリで採掘された石で積み上げられ、
パリの街の地下には全長350キロもの坑道が
今も残っているという。

tucasa_paris_1363_R.JPGゴシックの教会は北フランスから始まり、
いずれもノートル=ダムという名前だ。

都市の団結の象徴として、
聖母マリアを共通の聖人とした。

いにしえから都市には富があるから
略奪の対象になるのだけれど、

9世紀、シャルルマーニュ大帝の死後、フランク王国が分割され、
その内紛が北からノルマン人、東からマジャール人、
南からサラセン人の侵入の機会を与えてしまう。

他民族の侵入は、防備に変革をもたらし、
運命共同体としての役割分担が階級社会を一層明確にし、
自治都市が形成されていった。

他民族の侵入が落ち着いた10世紀頃からは、
人口が増加し、定住率が高まり、

11世紀からの大開墾時代、
多くの修道院が建設され、農業経済が進展した。

サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路や
ローマ時代の道路が機能していたガリアの交通ルートと
河川交通が港湾都市とも結びついて、

人の往来や交易が盛んになり、西欧を豊かにし、
そのことが文化の伝播にも大いに貢献した。

市民を収容するノートル=ダム大聖堂の正面に
クリスマス前になると、大きなツリーが飾られる。

この習慣は19世紀からだけれど、
クリスマスツリーは元々、古いケルトの聖樹信仰だ。

ヨーロッパは、12世紀まで3分の2が森だった。

森はケルトの人々にとって、
生活に必要なものを提供してくれる聖なる場所で、
彼らは木の文化を持っていた。

今やパリの街は、組積造の外壁が
あらゆる方向の軸線を持つ街路を形成しているけれど、

ルネサンス以前は、木造の民家が建ち並んで、
木造の教会も多かったそうだ。

サン=ルイ島からルイ・フィリップ橋を渡ると
15世紀の木造民家が幾つか現存していた。

古代ローマ時代の道路を繋ぐ、木の橋だったプチ・ポンは、
12世紀に石橋に変わった。

つづく。

司建築工房

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posted by Koji at 20:49 | TrackBack(0) | 建築ツアー

2018年06月12日

季節の移り変わりを楽しむ

紫陽花の美しい季節。

tucasa_8560_R.JPGお庭には平家物語の儚さを象徴する
沙羅双樹の白い可憐な花が、
季節感に相応しい夏着物の透けを表現している。

季節の変わり目は、体調の変わり目でもあるけれど、
月に一度のお茶事には、
単衣着物に羅帯とパナマ草履で出掛けた。

お茶席のお床は「清流間断無」のお掛け軸に
紙釜敷とお香合も清流。

低い立ちの風炉先屏風に割蓋の平水指。

この時期だけのお道具立て、
織部の馬盥(まだらい)茶碗と
紫陽花を想わせる薄紫色の平茶碗での

初夏の一服をゆったり噛み締め、
良き季節感を堪能させて頂いた。

大変貴重な赤織部と練込織部のお茶碗、
お菓子器の拝見も許されたのだけれど、

とりわけ亭主のお心尽くしが何よりのおもてなしと感じ入り、
感謝に堪えなかった。

今からパッキングして明日パリに出掛ける。
パリは長い冬の厳しさを脱して、
束の間の夏の歓びを謳歌してるだろうか。

ケルト系パリシイ族から始まり、
民族の大移動による歴史と文化の重層性が
ロマネスクとゴシックを生み出した。

今設計している建築は、洗練と土着的、上品で荒削り。

今回は、演奏にも共通する
良い意味で脱力したフランス人の感性にも触れると思う。

せっかくパリまで行くのだから、
南仏のプロヴァンスと北イタリアのヴェネトにも
足を運んで建築詣でをしたいと思っている。

日本とは違った文化の重層性の空の下で、
音楽を見るように、様々な空間変移を聴く建築を考えたいと思う。

司建築工房

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posted by Koji at 20:03 | TrackBack(0) | お茶