2019年07月15日

司建築工房19周年

今日は僕の独立記念日だけど、海の日でもある。

法律では、海の恩恵に感謝する日とされていて、
国民の祝日としているのは世界中で日本だけだという。

地球で最初の生物が誕生したのは海の中だった。
海はすべての生命の母だ。

海は地球の雨量を調節したり、大量の二酸化炭素を吸収して、
気温を一定に保ってくれる。

海の中のサンゴや貝殻が二酸化炭素を蓄積し、
命を支えるプランクトンなど様々な生物が食物連鎖によって育まれ、
バランスのとれた生態系が営まれている。

世界で最も生物多様性に富んだグレートバリアリーフが
2016、2017年で半分死滅したことがネイチャーに発表された。

真夏の満月から数日後の夜、
海中に大量の雪が舞うごとく行われる集団繁殖も
海水温の上昇によって危機的な状況で、

10数年後には世界中のサンゴ礁がほぼ完全に死滅し、
再び回復するには何千年もかかるという。

サンゴが住めなくなると、大気中の二酸化炭素が益々増え、
二酸化炭素は熱を蓄えるから、地球の気温は益々上昇する。

海面の水温の上昇がエルニーニョ現象をもたらし、
世界中で異常気象が頻発する。

温室効果ガス等すべて、
現代人がその原因を作っているし、
その現実を直視しようとしない。

tucasa_palette_3001_R.JPG30年後の海は、海洋プラスチックゴミの重量が
海にいる魚の重量を上回る。。。

海の恩恵、そんなことを思いながら、今日は朝から
間仕切り壁にドアを付ける仕事に出掛けた。

tucasa_palette_3005_R.JPGツーバイフォーのお宅で
下地の状況は開けてみないと
わからない状況だったけれど、

発注したドアがドンピシャ
下地間でギリギリ納まるという
ささやかな感動を味わった。

「日頃の行いがいい」だね、と
令和になって言われたのは、これが2度目だ。

tucasa_palette_3013_R.JPG今日は大工さんのおかげ。

これから20周年に向って、
自然が造り出した豊かな生態系のように

拘わる人達と恩恵の念を忘れず、
自身の誠意を尽くしていきたい。

「住みにくい所をどれほどか、寛容(くつろげ)て、
束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
ここに建築家という天職が出来て、使命が降(くだ)る。

あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、
人の心を豊かにするが故に尊とい。」

司建築工房

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posted by Koji at 18:15 | TrackBack(0) | 日々の仕事

2019年07月13日

現場は不協和な集合体

季節の移り変わりは早いもので、
梅雨の切れ間に蝉が鳴き出す、暑中見舞いの季節だ。

家相を好転させるために水廻りをガラリと変える
大がかりな改築現場は、

いわゆる書院造りの武家の伝統を引き継いだ、
真壁の和風住宅のリノヴェーションで、

施主の壊さなくて済むところはできるだけそのままに、
使える建具は使ってほしいという、揺るぎない要望から始まった。

建築に限らず、今月東京で観たクリムトにしても
あらゆる近代芸術は、異文化に刺激されて着想を得て、
自身の美意識を表現しているけれど、

僕は、生きる糧としての祈りや呪文として描いた縄文人の
動的な躍動感に別次元のパワーを感じ、心惹かれてきた。

tucasa_casa anima_2789_R.JPG真壁の静かな立体感から進化させて、
新しく構築する大壁には、伝統への共鳴と

新しい異化を織り交ぜながら、
端部に陰影を生む彫刻的な壁を造り出して、

変調していく生のリズムを奏で、暮らしに
生の根源的なエネルギーを表現しようと試みている。

tucasa_casa anima_2810_R.JPG改築の仕事は、隠れた部分に
予想外の現実が現れるけれど、
今回もまさに幾つか予想を裏切られた。

それでも何とかしてしまう解体屋の
職人さん達には、造作を積み重ねる今でも、

あなた達のおかげと
感謝の気持ちが沸き起こってくる。

今回初めて仕事を頼んだ大工さんには、
3Dデザインをイメージしてもらうための
施工図とモックアップを作成した。

tucasa_casa anima_2896_R.JPG建築というのは、常識が違う人間同士の気遣いと
連携を図ることで生み出される。

今世界は保護主義が台頭しているけれど、
自国のことのみに専念してはかえって、
自国の停滞を招く。

建築の現場でもどの世界でも同じで、
寛容の精神が良き結果をもたらすのだ。

かのアレクサンドロスは、捕虜でさえ下に見ることなく、
他民族の人権を尊重し、他宗教や異文化を侵さなかった。

tucasa_casa anima_2998_R.JPG多くの職人の手を借りて、
新たな生活空間が象られた現場は、

カルテット的な総合作用を持つ空間に
一歩一歩近づいている。

そう云えばクリムトの絵に、
ベートーヴェンが第九の合唱に採用した
シラーの言葉が書かれていた。

「あなたの行動と芸術を大勢が気に入らなくても、
少数の人が気に入ればいい。」

僕が好きなシラーの言葉、
「苦痛は短く、喜びは永遠である。」

司建築工房

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posted by Koji at 21:57 | TrackBack(0) | 現場