2017年05月23日

villa grid HP UP

tucasa_villa grid_ 153.JPG2000年に独立して17年。
多くの方のお陰様で、

海外での有意義なプロジェクトを
終えることができました。


ホームページWORKSに公開しましたので、
興味がございましたらご高覧下さい。

振り返ると、人生は偶然の重なりで、
若き日の人々との出会いがなければ、

今回のエキサイティングな経験はできなかっただろうと、ふと想う。
今まで関わって下さった方々の顔が浮かぶ。

日本では花々が淡々と咲き、新緑の季節を迎えたかと思いきや
もう夏の暖気がお出ましだ。

時の過ぎ行く早さに何の文句もないけれど、
文化財の消失と街並みの破壊のテンポは速すぎる。

戦後、産業の高度成長による開発事業によって
20世紀後半に多くの文化財が姿を消した。

例えばライトの帝国ホテルは1967年、
ライト未亡人が取り壊し反対の講演をホテル内で行ったその日、
未亡人の目の前で作業員を入れて石の解体作業が始まった。

戦禍を免れ、文化都市だった京都までもが
半世紀の間に多くの木造家屋が取り壊され、
90年代だけで、4万棟以上の古い木造家屋が消えた。

古いもの、自然なものは汚くて面倒で危険だと壊し、
ピカピカの工業製品を近代的で綺麗だと、
精気のない化学建材で作ることを選んだ人々が大多数を占めた。

全国どこに行っても看板と電線がひしめき合い、
公共施設はどこも土地の文化を取り入れず、画一的なフェイクばかり。

それでも繊細な感性を持つ人々は自分の好きな場所を見つけ、
観たい景色だけに焦点を絞って、残された自然や文化財を慈しむ。

日本には素材に対する美意識と世界に誇れる技術がある。

例えば昨年震災にあった熊本城の
あの安山岩の石組みは見事というしかない。
穴太衆(あのうしゅう)の眠り目地と武者返しの空間認識能力。

現代人ではできない技術や手に入らない材は保存し、
被害を受けても元の状態に近づくように修復に努め、
文化を守ることは残された国民の義務だと思う。

振り返れば、僕は若い頃から民家が好きで、
木や石や藁、土、紙、漆の温かい素材の生み出す
美しさ、テクスチャーに胸を躍らせた。

本物の素材で職人と誠心誠意ものづくりをしたいと思い、
90年代、数々の大先輩たちから勉強させて頂いた。

人生の先達たちの言葉には貴重な体験を経てしか
語りえない知恵が詰まっていた。

今でもその言葉は僕の胸の中で生き続け、指針になっている。

伝統と新しい施工技術を融合したら、快適で安全な建築が造れる。

tucasa_villa grid_ 034.JPG今回の建築は素材選びが
重要な要素だった。
それも現地で調達できる素材で。

木材は大陸の大地に相応しく
落ち着いた色味と
程良い野性味がほしかったので、

窓、ドア、テーブル、
机、棚はチェリーウッドにした。

赤味のある木肌で華やかさがあり、
適度な硬さと重さで、温かみのあるスベスベした手触り。

壁と天井は柔らかい赤味のあるレッドシダー。
新築した時よりも5年10年経って落ち着いて
美しさが増すことだろう。

tucasa_villa grid_ 263.JPGここは冬の寒さが厳しいので、
開口部はすべて二重で

外壁廻りの内側は
藁入りの黄土と炭(断熱)で
これだけで厚みが300mmある。

外壁はすべて地元で採掘された石を積み、
下地を入ると厚みが250mmあるから、
外周部の壁の厚みは550mmを超える。

床下にも炭と黄土で厚みが300mmあり、
小砂利の蓄熱層と温水パイプの床暖房システムになっている。

もちろん冬は暖炉で火のある暮らしだ。

空調の室外機も温水ボイラーも
建築の外部のどこにも見えないように
デザインの一体化を図っている。

これからも施主の良き人生の一部になれたら
どんなに幸せだろう。

そのために今、勉強したいことがたくさんあって、
好奇心が加速する。


司建築工房

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 大地の樹木 本物の素材 火のある生活







posted by Koji at 23:57 | TrackBack(0) | 日々の仕事
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