2017年10月04日

チョイ住み in Firenze 3

人文主義者がフィレンツェの
裕福な商人たちの審美眼を肥やし、

政府に対しても実権を握るほどのギルドの彼らは、
都市を作ることに積極的で、

そこに彼らが雇った天才芸術家がいたことは
歴史上の幸運だろう。

ブルネレスキは透視図法を発見して、
アルベルティが遠近法を数学的に解析した。

絵画は、遠近法と構図と物語の調和だという
「絵画論」をブルネレスキに献呈する。

古代ローマの人文学に傾倒したアルベルティは、
修道院で埃をかぶっていた、
ウィトルウィウスの「建築書」を発見し、

ローマ建築の遺構を調査して、
人体比例と美の背後にある幾何学を
「建築論」で紹介している。

弦の長さが整数比になるように音を組み合わせると
心地よい和音になるということは、
古代ギリシャの数学者ピタゴラスまで遡るけれど、

tucasa_firenze_ 622_R.JPG作曲もこなす万能の天才アルベルティは、
音楽の聴覚比例を建築の視覚比例に移し替え、

和音を図形に置き換えて、建築形態の美や調和、
プロポーションを生み出すことを考えた。

S・M・ノヴェッラ教会のファサードは
その整数比の幾何学で構成されているし、

パラッツォ・ルチェライは、コロッセオの要素と
ロマネスクの半円形アーチ窓を応用して、
石積みの目地で比例のリズムをデザインした。

中世以来の街路に沿って連なる街並みに
パラッツォ・メディチをはじめ上層市民による

古典主義的なプロポーションの都市邸宅が建てられたけれど、
どれもヴェッキオ宮殿のような要塞的な雰囲気を持つ。

tucasa_firenze_ 846_R.JPG街路の裏側に中庭があるのは
古代ローマのヴィラからの伝統だろう。

ポルティコに囲まれた中庭を
いくつも堪能できる街でもある。

街で見かける足場のある工事現場は、
新築はなく全て外装の補修か内部の改装だ。

古い建物のレスタウロで上手く再生させた店舗など
多くの魅力的な都市デザインを見てきた。

外観だけ残しただけではただの景色で、
そこに人々が生き生きと必要な用途で使って、
働いているからこそ、街並みが魅力を帯びるのだ。

フィレンツェに来たら、どうしても会いたくなる美術品がいくつもある。

tucasa_firenze_410_R.JPGパラッツォ・メディチとともに
ミケロッツォが手掛けた、

木の小屋組が親しみを感じる、
静謐なサン・マルコ修道院。

真っ先に階段を目指して、
踊り場に出た時正面を見上げると
フラ・アンジェリコの「受胎告知」がある。

クリスチャンでなくても
不思議な安堵感の中で、瞑想するようだ。

宗教的モチーフの題材だけれど、
透視図画法はルネサンスを感じる。

tucasa_firenze_ 437_R.JPG小食堂の壁一面に描かれた
ギルランダイオの
「最後の晩餐」のフレスコ画は、

この部屋のヴォールト天井に合わせて、
天井が透視図画法で連続して、

窓も延長して描かれ、
窓からの光は部屋と同化している。

ギルランダイオは、
若き日のミケランジェロが師事した師匠だ。

つづく。

司建築工房

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 大地の樹木 本物の素材 火のある生活









posted by Koji at 18:58 | TrackBack(0) | 建築ツアー
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