2017年09月30日

チョイ住み in Rome 4

ナヴォーナ広場にはボッロミーニのサンタニェーゼ教会と
ベルニーニの四大河の泉があるけれど、

元は1世紀に建てられた3万人収容のスタジアムの跡地で
観客席だった強固な躯体を利用した店舗が並び、

スタジアムの曲線がそのまま凹面の外壁となって、
歴史を記憶に残した形になっている。

tucasa_rome_ 185_R.JPGボッロミーニの、交差点の四角に噴水のある
クアトロ・フォンターネ聖堂は、
曲面に波打ったファサードに

内部の楕円形のドーム天井が、
十字形と八角形と六角形で、

見事な幾何学模様になっていて、
上に行くほど狭く納まる、
イスラム芸術の三次元デザインを思わせる天才的な空間だった。

様々な広場や噴水は市民の憩いの場となり、
ボルゲーゼ公園などの広大な緑地の自然公園もあり、
街中に心地よい居場所がたくさん作ってある。

tucasa_rome_ 3119_R.JPGボルゲーゼ公園のある
ピンチョの丘の斜面に作られた

スペイン階段やトレヴィの泉も
バロック時代のものだ。

これらの劇場的な空間は街に開かれていて、
身近に立ち寄れて、腰掛けられる。

トレヴィの泉は建物に囲まれて、街路より掘り下げられているので、
俯瞰によってこの劇的な空間が一瞬にして心に焼き付けられる。

そういえばパンテオンからトレヴィの泉に向う途中に
アントニヌス・ピウス帝が2世紀に建てた
ハドリアヌスの神殿の列柱が現存していた。

柱脚の基礎構造も見える状態になっていて、
採石場の名残で石の広場と呼ばれている。

ボルゲーゼ美術館にあるベルニーニの「プロセルピナの略奪」は、
僕が一番心奪われた彫刻作品だ。

tucasa_rome_ 3231_R.JPGギリシャ神話の一場面を
逃げようとする抵抗の躍動感でドラマティックに、

しかも指が柔らかなもとももに喰い込むリアリティを
またふたりを3次元にどの方向から見ても

破綻のないように掘り出す
造形能力には圧倒された。

「アポロとダフネ」の逃げて触られた瞬間の月桂樹に姿を変えていく瞬間が
目の前で繰り広げられているような劇的なドラマ性。

ふたりと木や葉っぱを絶妙なバランス感覚で掘り出す技は、
古代ローマやギリシャを超越した人類最高の彫刻家とさえ僕には思える。

tucasa_rome_ 3371_R.JPGベルニーニの
ローマにある数々の噴水彫刻は、
ローマの街を劇場のような場に変えた。

サン・ピエトロ大聖堂前のコロネードでは、
なるべく多くの市民を収容できるように

長軸200mの楕円形と台形で囲み、
大聖堂を遠く感じさせずに、オベリスクの中心性をより引き立たせた。

カトリック教会は権威を高めるため、
教会を彫刻や絵画で飾り立てた。

tucasa_rome_ 068_R.JPGカラヴァッジョのキアロスクーロの技法で
劇場の舞台のような
明暗のコントラストの中に

感情を表現した人間ドラマは、
ルネサンスにはない異質の感動を与える。

ローマのサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会の
壁面に描かれた「聖マタイの召命」「聖マタイの殉教」と

サンタゴスティーノ教会の壁面に描かれた
「ロレートの聖母」が今でも心に残る。

この教会の方が、柱にラファエロの絵もあるよと案内して下さった。
ラファエロは、ミケランジェロのあの天井画を見た後、

既に完成していた絵を壁から削り落として、
ミケランジェロ風の人体表現と色彩に描き直した。

「天地創造」の天井画はそれほど後の芸術家に多大な影響を与えたのだ。

つづく。


司建築工房

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 大地の樹木 本物の素材 火のある生活


posted by Koji at 09:19 | TrackBack(0) | 建築ツアー
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