2019年07月13日

現場は不協和な集合体

季節の移り変わりは早いもので、
梅雨の切れ間に蝉が鳴き出す、暑中見舞いの季節だ。

家相を好転させるために水廻りをガラリと変える
大がかりな改築現場は、

いわゆる書院造りの武家の伝統を引き継いだ、
真壁の和風住宅のリノヴェーションで、

施主の壊さなくて済むところはできるだけそのままに、
使える建具は使ってほしいという、揺るぎない要望から始まった。

建築に限らず、今月東京で観たクリムトにしても
あらゆる近代芸術は、異文化に刺激されて着想を得て、
自身の美意識を表現しているけれど、

僕は、生きる糧としての祈りや呪文として描いた縄文人の
動的な躍動感に別次元のパワーを感じ、心惹かれてきた。

tucasa_casa anima_2789_R.JPG真壁の静かな立体感から進化させて、
新しく構築する大壁には、伝統への共鳴と

新しい異化を織り交ぜながら、
端部に陰影を生む彫刻的な壁を造り出して、

変調していく生のリズムを奏で、暮らしに
生の根源的なエネルギーを表現しようと試みている。

tucasa_casa anima_2810_R.JPG改築の仕事は、隠れた部分に
予想外の現実が現れるけれど、
今回もまさに幾つか予想を裏切られた。

それでも何とかしてしまう解体屋の
職人さん達には、造作を積み重ねる今でも、

あなた達のおかげと
感謝の気持ちが沸き起こってくる。

今回初めて仕事を頼んだ大工さんには、
3Dデザインをイメージしてもらうための
施工図とモックアップを作成した。

tucasa_casa anima_2896_R.JPG建築というのは、常識が違う人間同士の気遣いと
連携を図ることで生み出される。

今世界は保護主義が台頭しているけれど、
自国のことのみに専念してはかえって、
自国の停滞を招く。

建築の現場でもどの世界でも同じで、
寛容の精神が良き結果をもたらすのだ。

かのアレクサンドロスは、捕虜でさえ下に見ることなく、
他民族の人権を尊重し、他宗教や異文化を侵さなかった。

tucasa_casa anima_2998_R.JPG多くの職人の手を借りて、
新たな生活空間が象られた現場は、

カルテット的な総合作用を持つ空間に
一歩一歩近づいている。

そう云えばクリムトの絵に、
ベートーヴェンが第九の合唱に採用した
シラーの言葉が書かれていた。

「あなたの行動と芸術を大勢が気に入らなくても、
少数の人が気に入ればいい。」

僕が好きなシラーの言葉、
「苦痛は短く、喜びは永遠である。」

司建築工房

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 大地の樹木 本物の素材 火のある生活


posted by Koji at 21:57 | TrackBack(0) | 現場
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