2016年08月02日

特別展古代ギリシャ

ルネサンスの天才も近代絵画の巨匠も
古代ギリシャからインスピレーションを得て、
創作の源がここにある。

古代ギリシャの遺産は、
まさに永遠の美の源泉、人類の宝だ。

ローマの葡萄畑からラオコーンが出土した時、
ミケランジェロは芸術の奇跡と言った。

1470199419.jpg斬新なモチーフとフォルムの土器。
繊細な装身具の工芸技術。

歴史上の芸術家に引けを取らない
名もなき陶工、陶画家、金細工職人たち。

僕はアッティカ黒像技法の人物画が好きで、

ルーブル美術館でも多くの作品を見ましたし、
ルーブルにはヘレニズム期における彫刻の傑作があります。

古代ローマ人はギリシャ彫刻のリアルな官能表現に魅了された。
ロダンも古代彫刻に魅了されたひとりだ。

僕は浮彫りも好きで、パルテノン神殿の浮彫り彫刻は、
大英博物館等でもたくさん見ました。

男たちは食べるために戦う戦士。
ゆえに肉体を鍛え、人間の肉体美を追求した。

芸術には富が不可欠だけど、
職人たちの人間本来の信仰心によるところが大きい。

古代ギリシャへのリスペクトは美術だけではない。

古代ギリシャ人は、都市国家を形成し、
建築、哲学、数学、天文学、医学、文学、
演劇、オリンピックの礎を築き、民主政治を行った。

法律の下での平等、言論の自由、選挙、裁判が行われた。
真実を探究し、知性と野生のバランス感覚を持ち合わせた。

現代社会の礎を築いた古代ローマ人のインフラ技術も
これらの人材を輩出した教師は古代ギリシャ人だった。

アレクサンダー大王は13歳から、
アリストテレスから教育を受けているし、
カエサルもアウグストゥスもギリシャ人教師に学んでいる。

古代ローマの元老院の影に古代ギリシャ人あり。

古代ローマの医師はギリシャ人の仕事だった。

アルキメデス、ヒポクラテス、、、
ピタゴラスは地球は丸いと言った。

紀元前にすでに地球の円周の長さを求めている古代ギリシャ人。

今回の古代ギリシャの芸術を通して、
一神教でない時代の人間の能力の高さを改めて窺い知るのでした。

1470203462.jpgギリシャ神話やホメロスの世界は、
その後のヨーロッパ市民の
一般教養のひとつだけど、

それに登場する英雄たちに魅せられた
シュリーマンのような発掘した人と

それを大事に保管する人がいなければ
今日の鑑賞は叶わないわけで。

今回火山灰に埋もれてたことで、
3700年前の色鮮やかなままのフレスコ画には心躍りましたが、

引き続き、火砕流に埋もれたポンペイの壁画展が楽しみです。


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2016年07月15日

アンドリュー・ワイエス水彩・素描展

現在国内外のプロジェクトが同時進行しており、
先月より早朝から日暮れまで現場仕事で汗して、
夜は計画図面等、充実した日々を過ごさせて頂いております。

独立して16周年の今日は、久しぶりに現場を離れて、
アンドリュー・ワイエス水彩・素描展へ出掛けてきました。

1468582127.jpgオルソン・ハウスでの
人の普遍的な営みや息づく風景、
何気ない対象物への感受性と質感は、

工業製品をまとった模造品の街並みに暮らす僕の胸に
失われた温もりを感じる風景を
取り戻したい欲求とともに
強烈な美の輝きとしてよみがえる。

感動した風景の記憶を本質的なものだけにそぎ落とし、
色調を抑えた茶色や灰色や余白の白を基調に

細部のテクスチャーと独創的な構図で表現された習作コレクションは、
日本の美意識にも通じる余白の魅力と精神性がありました。

青や赤や黄色を効果的に使う色遣いは
僕の好きなライトの建築と共通する。

アメリカの大自然を愛したお二人の共通点でしょうか。

ワイエスは油絵の重たい感じは性に合わないという。
バッハとシベリウスがお好きだったワイエス。

観覧の後、お出し下さった
メイン州に因んだブルーベリーの味は、
今日の良き日の思い出となりました。

バッハの無伴奏とともに。


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2015年12月20日

ライフインプログレス

シルビーギエム現役最後の公演を
この目に焼き付けるため東京へ。

1450606956.jpgその前に鎌倉でも最後の展覧会にお別れを。
戦後の混乱期に建てられた鎌倉近代美術館。

コレクション第1号というアンドレ・ミノーの
グリーンのコンポジションが赤い壁に飾られていた。

エコールドパリの時代、
パリを中心に近代芸術が花開いた西欧で学んだ
日本の洋画家のコレクション。

そして鎌倉の自然に寄り添った
住宅のような心地よい空間。

滋味深いひと時を過ごしました。

1450618271.jpgさて、シルビー・ギエム。
最後の公演地に日本を選んでくれて有難う。

現役最後まで新作の舞台を見せてくれた。

人間って美しい!!!

しなやかに艶っぽく、時に神聖な儀式のように。
まさに美の女神でした。

僕は神々しい光に拍手をすることしかできなかった。
あとはファイナルのボレロでさよならを。


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2014年10月25日

青江下坂の歌舞伎

江戸時代、下坂の名刀はブランドだった。

下坂家は徳川家康から康の字を賜り、
刀に葵の紋を刻むことを許されたことから
青江下坂と呼ばれたとのことだけど、

この青江下坂が使われる歌舞伎がある。
歌舞伎に造詣の深いお茶の先生が教えて下さった。

t01990283_0199028313091465656.jpg伊勢音頭恋寝刀
(いせおんど こいのねたば)だ。

この十月に歌舞伎座と御園座(ビレッジホール)
二か所で公演された。

本当に集中して見入ってしまう。
役者さんの演技もさることながら、

鳴物の音楽、着物の柄、色のコーディネートなど
僕にとって見どころ満載でした。


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2012年07月03日

ダニエル・オスト

京都・杉本家の展覧会以来久々の展覧会だった。

今や王室をはじめ、世界の大富豪のウェディングに招かれ、
アブダビに美術館まで建築中だ。

そんな今回のダニエル・オスト展を振り返る。

OT12070301.jpg僕もお茶の師匠の花展の手伝いをするから、
かなりの労力を要したであろう作品の数々を
何度も繰り返し見てきた。

直線と曲線の使い方の基本は
他のアートと一緒だ。

自然を映す日本の生け花とは違い、

茎や枝もの、徹底して植物素材を使って、
オブジェや彫刻を創り出しているんだけど、

水の音がしたり、鳥が歌ったり、
音楽が鳴ったり、風が吹いたり、

作品の廻りの空気感が自然を感じるのだ。

結束する針金や花を生ける試験管の使い方の細部まで
配慮が見て取れる。

時には隠し、時には照明の光の屈折を利用する。
そんな徹底した素材感など共感できた。

浮世絵の世界観や色んな表現を発想するオストの
ドローイングによってイメージを伝え、生み出されるのだ。


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2012年06月10日

生け花展@青葉祭り

今日は向弘苑にて、毎年恒例の
伊藤先生の真生流花展@青葉祭りの
お手伝いでお茶出しをさせて頂いた。

OT1206101.jpg来て早々、アクリル板に浮かべた
紫陽花の作品に釘付けになった。

近寄って上から覗き込んでみたら、

まるで青空と青かえでの緑が池に映り込んで、
深く吸い込まれそうな世界。

伊藤先生はあまりの偶然の美しさに
予定していた花を活けるのやめました、とのこと。

まさに自然そのものが最高の作品です。
映り込んだ青空と青かえでをずっと眺めていると心洗われる。

OT1206103.jpg見上げれば美しい新緑の景色なんだけど、
アクリルで切り取られた世界は、

異次元の別世界で
不思議な感情が湧き上がる。

感動した午前よりも
夕刻の緑は最高に綺麗だった。

自然の中に生け花を設えると、
作品の魅力が倍増する。


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2012年04月07日

フェリーチェ・ベアト

恵比寿の駅まで送って下さったのも運命だろう。
今日は写真三昧と決め込んで、東京都写真美術館へ。

ロベール・ドアノーの
生誕100年記念写真展が開催中なのでした。

OT1204055.jpgパリに生きる普通の人々の
普通の振舞いの奥に潜む深い物語。

「見た人に物語の続きを
想像してもらえるような写真を撮りたい」


「理屈や重力から解放されて子供たちが見せてくれる表情は、
この世で出会える最高に美しい喜びのコレクションだ」

そんなヒューマニズムの写真家が捉えた
185点もの作品をじっくり堪能した。

今回、第二次世界大戦ドイツ軍占領下の
パリの地下活動の記録写真や

多くのカラー写真は初めて見るものばかりだった。

OT1204056.jpgもうひとつ、フェリーチェ・ベアトが撮った
東洋の写真展。

日本の幕末から明治の写真は、
まさにタイムカプセルを開けた
感動の時間だった。

江戸・横浜のパノラマ写真は特に釘づけになった。
ヨーロッパの街並みに勝るとも劣らない、150年前の日本。

グレーの屋根に白と茶の壁の街並みはなんと美しかったことか。

東北の震災復興での街づくりは、
住宅性能は今の技術を取り入れながら

外部はかつての日本の街並みのような
統一性のあるものにすれば、

失われた日本の風景の復活になるのにと、
ふとそんなことを思ってしまった。


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2009年11月07日

マーク・ロスコ

東京からちょっと足を延ばして、
千葉の川村記念美術館に

マーク・ロスコのシーグラム壁画のうちの
7点を収蔵したロスコルームがある。

建築もそうだけど、
インターネットの画像じゃぜんぜん伝わらない。

実際行って、その場の空気に浸らないと。
情報を得ることと感ずることはあまりにも違いすぎる。

Scan10028.JPGカンヴァスは大きいのになると
2.6m×4.5m程の大きさがあって、

明度の低い静けさの中に、
赤や橙の色が躍動する絵で

「来て良かった〜」って何度感動に浸ってただろう。

マーク・ロスコが好きというより
シーグラム壁画の作品が欲しいぐらい好きなのだ。

元々はミースがフィリップ・ジョンソンと共同デザインした
シーグラムビルのフォーシーズンズレストランに飾るために

作品制作の依頼を受けたものなんだけど、
鉄とガラス張りの建築に、この壁画を飾る壁面は見当たらない。

ロスコルームのように、ダークな色の床に
僕なら天井もダークな色にして、

トップライトの間接光が白い壁面だけを照らすレストランを
想像したら、お料理を美味しく頂ける贅沢な空間になるだろう。


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2009年09月23日

ジュゼッペ・ペノーネ展

ジャック・デサンジュパリで修業した
美容師の友人がジュゼッペ・ペノーネ展の
チラシを持ってきてくれた。

gp_pic01.jpg自然の素材感と造形力のある写真を見て
これは見に行こうと決めていた。

建築でも本物の素材感は
人に訴えかける力がある。

アカシヤのトゲ。
大木の表皮を写し取ったブロンズの鋳造。

黒いカンヴァスに黒鉛。
動物の皮革。茶葉。

建築空間にはあまり使われない素材たちは
すごく刺激的で、

自然の一部である人間が
文化の違いを超えて共感でき、

自然が創り出す造形力の迫力、
偉大さを感じた。

モダンな空間に自然の造形。
自分もいろいろ実験したくなる。


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2009年09月04日

若冲ワンダーランド

Scan10027_r1.JPG伊藤若冲、江戸時代にこんな斬新な
ポップアートのような絵画を描く
画家がいたとは。

2008年に確認されたばかりの
「象と鯨図屏風」を観に行ってきた。

ちょうど尾形光琳が亡くなった年に生まれて、
与謝蕪村も同じ年に生まれていて、

今回初めて観る蕪村の「老松図屏風」
も素晴らしい作品で感動した。

100_0136.JPG同時代の画家としては
池大雅や円山応挙がいる。

琳派の光琳や写生派の応挙などと同じく
狩野派に学んで、若冲はそこから
独自の画風を確立していった。

生涯新しいものに挑戦し続けて、自分流に
磨きをかける姿勢に勇気づけられたのでした。

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2009年05月06日

ロベール・ドアノー

アンリ・カルティエ-ブレッソン、ウイリー・ロニス、ロベール・ドアノー。
この3人のフランスの写真家達は友情で結ばれていた。

京都の何必館の梶川館長が日本に紹介して以来、
東京、静岡、京都等で時折写真展が開かれるようになった。

人間のとりわけ庶民の日常の営みを撮り続けた3人の写真家の
モノクロ写真の世界はいつ見ても飽きない。

Scan10030_r1.JPG光と影、フォーカスと動きによるボカシ?

忍耐と一瞬を逃さぬ素早さと
喜び・哀しみの感動。

ユーモアとシニカルな眼差しで
絵画にはない芸術がそこにはある。

ウイリー・ロニスはロバート・キャパとも親交があった。
ロバート・キャパも戦場のルポルタージュと対比した
ほのぼのとした写真は好きだ。

なかでもロベール・ドアノーは好きだ。

ロベール・ドアノーのメッセージ。
「私が自分の感動を伝えることができた人々は、
地球の果てからでも手紙をくれる。

これらのメッセージは、人がその人生の終りに
受けることができる最も高価な報酬であろう。」

ほとんど地元のパリを拠点に
パリの下町に暮らす気のいい街の写真屋さんのドアノー。

自分もそんな建築屋さんになりたい。


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2009年02月19日

パウル・クレー

DSCN3568_r1.JPG絵画は実に多くの
芸術的エッセンスが含まれていて、
建築に生かしているんだけど、

一番好きな画家のパウル・クレーの線画
「忘れっぽい天使」(枚数限定のリトグラフです)
を自宅のリビングに飾っていて、


今日友人からドイツで買い求めた
絵葉書だと言って送られてきたのが、
この「忘れっぽい天使」でびっくり。

これは60歳で亡くなる前年に描かれた作品だ。

Scan10001.JPG線から出発して、
チュニジアでの旅をきっかけに色彩に目覚めて、

変幻自在な世界を構築して、
最後は線に辿り着いたクレー。

直線はなく、単色もない。
そこに動きと柔らかさ、色彩の絶妙な調和、
力のバランス、音楽的な強弱と緩急がある。

DSCN3574.JPGパウルクレー風の抽象画を
画家の栃久保操さんから
何点か譲ってもらって、

事務所に季節ごと
掛け替えて楽しんでいる。


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