2016年11月04日

現場は最終章へ

常任指揮者の僕としては最後のフィナーレに向かって
これまで積み上げてきた集中力で
職人合奏を指揮しています。

毎朝現場までの車中は、ヴィヴァルディの四季♪

今年のクリスマスにチェロで参加することもあるんだけど、
テンションが上がります。

1478266373.jpg現場は薪ストーブと煙突を設置し、
スイッチ、コンセント、ライトを取り付け、
現場に照明が灯りました。

大工さんが残りのテーブル2つとソファ台、
ベットの組立て、階段の手摺、タオル掛け、
全て壁や家具と同じ木で製作しました。

1478266442.jpg
建具屋さんが引出の取付け、
エアコンガラリ、建具の吊り込み。

それに塗装屋さんがオイルフィニッシュ塗り。

掃除屋さんにガラス窓を中心に
掃除してもらい、

ガラス面にあらかじめカットしておいた
電磁波防止フィルムを貼ってもらいました。

最近は、銀行通帳やカードの磁気が
壊れるケースが急増していて、

携帯電話をはじめ空気中の電磁波放射量が
格段に増えているのが原因という話を
工員の方から聞いたのでした。

外国人観光客の拡大に向けた街の無料公衆WIFI化や交通網など
街に出たら電磁波に晒される世の中で、

避難場所としての住宅を考えなくてはならなくなった。

1478266506.jpg今週は胡桃割り人形の第2幕のようで、
職人が帰った後、
毎日掃除と翌日の現場の準備で、

先週末から今週もずっと
現場に張り付いています。

実は僕も一奏者でもあり、ワーロンシートを
カットし、曲げ加工を施し、貼り込みました。

1478266411.jpg最上階のテラスから大都会を眺める以外は、
閉じた建物なんだけど、

壁を隔てた内部は街にはない大地から繋がる
自然の息吹を感じて、外の喧騒を忘れます。

お施主さんの好きな山のエネルギー、
山の空気を感じてもらえる空間。

職人さんが、頭の中でどう考えたら
こんな建築になるのかって聞いてくれた。

確かに頭の中で考えたことが現実になるんだけれど、

「建築家は建物を使う人、そこに住む人の気持ちを
汲み取ることに尽きる」

急に冬が到来したような一週間でしたが、
家に帰ると暖炉に火が揺らめいていた。


司建築工房

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2016年10月21日

家具が生まれる現場

金木犀の薫りを風が運んでくれる秋の現場では、
日々大工さんが造作家具を手掛けています。

1477015816.jpg床と壁と天井で囲まれた空間を
創造するだけでは、

施主のことを考えた
建築家としての仕事とは言えない。


施主が望む以上の、機能的で快適な暮らしを提供したいから

考え抜いた寸法で、
内部造作も家具も一貫した文法による
素材とデザインで設計してある。

この現場では22個の家具が作られるのだけれど、
家具は建築と調和したものでなければならない。

そして照明も壁と天井と一体化してその一部となるだろう。

1477015701.jpg僕は、しょっちゅう現場に出向き、
大工さんのそばにいて、
完成形の納まりを助言している。

傍らで大工さんの仕事を見ていると
ひとつの部材ごと、水平、垂直、際を揃え、
強度と美しい仕上がりを考えながら、

ひと手間ひと手間作り上げていく仕事に
有難さで胸がいっぱいになる。

1477015744.jpg生命力のある素材で統一された現場では
職人さんも魅力的だ。

内部空間と全ての家具が調和した生活は、
素材への美と尊厳を感じ、自分たちの環境に
誇りと感謝を抱くことだろう。

1477015783.jpg

今、ソファと椅子の張り生地を海外から取り寄せて、
世界にひとつのソファと椅子を製作する。

誠実な仕事が誠実な環境を生み、
誠実な人の人生を助けるのだ。


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2016年10月06日

現場はモチベーションの源

人が愛着を持つのは形あるものだけではない。
感動しながら描いたアイデアこそ愛着がある。

CADからアイデアが生まれるわけではなく、
敷地を取り巻く環境から生まれてくるのだけれど、

大陸の山の中腹にある高低差に富んだ敷地には、
直角ではなく斜めのグリッドで作り出される建築が馴染むと直感した。

1475746177.jpgそしてプランを練り上げ、
構造から工法など、
自分の考えた建築が、

海外の地に海外の職人の手で、
おおかたのフォルムが形作られた。


1475746003.jpg鳥が自然に歌いだすように
素直に自己をゆだねていると

色んな場所からこの建築を眺め、
感動の波が打ち寄せてくるのでした。


1475745839.jpg職人さん自らが、
清浄な山でしか採れない

風の音と朝露だけで育つ
貴重な食材を採取し、
差し入れてくれたのも感動した。

皆で囲んで、秋の平穏な気で満たされる。

食事を共にしながら監督さんが、
こんな面倒な建築はこれが最初で最後だ。

1475745922.jpgでもこの建築が完成したら、
めったに見ることができない
美しい建築になる。

個人的な物件でなければ、
何かの賞がもらえるのは
間違いないだろう、と云った。

またある方が、シモサカサンの芸術作品は
お金では買えないものだ、と言って下さった。

1475748499.jpgこういった言葉こそ僕にとって
お金では得られない価値がある。

関わる人たちから愛情をかけてもらえること、
慕ってもらえることは、異質の喜びだ。


そう、僕はお金で買える建築には興味がないのだけれど、
この愛する建築はここからが面白い。

1475746090.jpg五角形の屋根を葺き、外部に石を積み、
多角形の内部に木を張り、
石を積み、土を塗る。

そして土で床暖房を作りながら床を仕上げ、
建具や家具をすべて木でつくる。

ストーブと煙突もつくだろう。

1475745738.jpgここにこのまま滞在して
しょっちゅう現場にいたい気分だけれど、

納まりも作り方もお伝えしたから、

監督さんはじめ職人さん達に
引き続きお願いして、

この度の経験で得た
秋の収穫を持って日本に戻ります。

1475746277.jpgまた来月の現場を楽しみに。

この建築が完成した時、
大自然の延長として生命感のある

魂の愛を語りかけてくるとすれば、
それは作品と呼んでもいいかもしれない。


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2016年09月21日

足の裏で幸せを感じる現場

世の中に花から生まれる床材がある。

初夏に青い亜麻の花が咲き、
咲いた後の種から亜麻仁油が摂れる。

そして亜麻仁油はリノリウムの原料になる。

亜麻仁油にコルク、木粉、石灰岩を混ぜ圧着して、
長尺床敷材リノリウムが作られるのだ。

1474466115.jpg裏にはジュートが使われ、
素材に柔軟性を与えるため

石油化合物ではなく、
松の樹液が使われている。

現代のコピー&ペーストのプリント技術では
表現できない天然の柄は、

バッハの音楽のようにリピートがなく、
生成を続けて飽きることがない。

そしてマットな色彩も魅力的だ。

合成顔料や重金属を一切使用せず、
天然色素で色付けされているからだ。

1474544205.jpg今残念ながら日本には、
石油系のビニール床材しかなく、

床の長尺材で天然のものを扱うメーカーは
なくなってしまった。

昔は郵便局や百貨店などの床に使われていたけど、
東京丸の内ビルに土足遣いで、
すでに60年使用経過しているものがあって、

その耐久性は実証されている。
医療施設などの実績でもクレームがないようだ。

抗菌性、清掃性にも優れ、
100%土に還る。

元々土足の文化ヨーロッパで生まれたリノリウムだけど、
素足の日本の家屋にも使わない手はない。

転倒時の衝撃吸収性に優れているし、
とにかく足の裏が気持ちいい。。。

ちなみに亜麻の茎の繊維からリネンができるんだけど、
人類最古の繊維で、ランジェリーの語源にもなっていて、

1474616884.jpg肌に優しくサラッとして、
コットンやシルクに比べて、
吸水性・発散性に優れている。

繊維の中には空気が含まれているから
保温性もあり、オールシーズンに適している。

リノリウムも湿気の具合で色の濃淡ができるほど、
確かに呼吸していて、下着のような心地よさがある。

施工はやはりビニール床材より曲りにくいから手間はかかる。

今回は暖かい季節だからよかったけど、
冬にはトーチであぶりながら、
ならすのにも時間がかかる。

今回も狭いトイレの床だけは
型を取ってカッティングしてから貼った。

壁を傷付けるからだ。

1474544265.jpg想像した通り、木との相性は抜群だ!

天井の木の流れに合わせて、床も長手方向に
目地を堀り、溶接でラインを作る。

掃除と2度目の床養生をして
また真っ新な現場になった。

床が浮いている箇所発見。
掃除と床養生は、職人さんの仕事の跡を確認し、
チェックも兼ねる。

来週から再び3人の大工さん、
仕上げ工程の職人さんたちを迎えます。

長くなったので、

つづく。


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2016年09月20日

現場は最高のアトリエ

建築を考え、建築を作る、
人生にこんな楽しい生き甲斐があるだろうか。

壁と天井に生命感のある木を張った現場にいると、
人を温かく包み込む普遍的な安心感があります。

本物のクオリティーを持った建築を提供できる
意義ある仕事に喜びを感じるものです。

無垢の木と長く付き合っていくために
塗装は欠かせません。

木の調湿作用を妨げることなく、木の質感を活かす
浸透性の植物オイルを塗りました。

オイルフィニッシュならではのしっとりとした仕上がりで、
乾拭きでメンテナンスしていきます。

1474265018.jpgストーブ廻りの炉台と炉壁は、
下地の胴縁を含めて

不燃材で二重空気層構造にして、
耐熱・防火対策をしてあります。

燃焼装置・暖房装置として
その能力を発揮するために

デリケートな通風計画が大事で、

建物全体で微差圧を測り、
給気口を調整しました。

ブリックは焼き物ならではの自然なムラと粗面なもので、
出隅の曲がりを特注の寸法で焼いてもらい、

このブリックを引き立たせるための目地は、
骨材を混ぜたザックリとした白系のブリック目地で、

ブリックの厚みを消さないように
深目地で陰影を出します。

1474356063.jpg床にマーモリウムを貼るため
ひとまず床養生を撤去して掃除。

これまで解体、電気配線のやり変え、
電磁波シールドシート張り、

空間の形を変え
本物の木を張ってきた現場の
床養生が一つの役目を終えました。

将来的に下地の細かい凹凸が出ないように、床のパテ補修を行い、
ケレン・掃除をして、マーモリウムの仮敷きとカッティング。

1474459170.jpgマーモリウムを貼りつける前に、
下階の分電盤、

電灯配線・照明器具からの
低周波磁場を遮蔽するために、

シールドシートを敷き込みました。


1474265044.jpg大工さんの作業場では、机やテーブルなどの
家具製作にかかっています。

一貫性のある文法でデザインした家具が
生れてくることはとても楽しみです。

今回は家具屋さんではなく、
製材で挽いてもらった無垢材を使って、
大工さんにすべての家具を製作してもらいます。

手作りで形作られていく過程は
かけがえのない僕の生き甲斐だ。

つづく。


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posted by Koji at 19:01 | TrackBack(0) | 現場

2016年09月14日

お茶事を愉しむ秋

現場から帰る道すがら、日の暮れるのも早くなり
車窓を全開にすると涼しい秋の風が吹き抜ける。

秋の虫の鳴き声がする道を選んで。

月に一度月釜にお招き頂ける光栄に浴して
4年目を迎えておりますが、

仕事に明け暮れる日々の中で、この日だけは
他では味わえない贅沢なひとときに身を置きます。

お茶席にて季節を五感で味わう総合芸術は、
日本人の繊細な感性や精神性、美学まで詰まっています。

先月のお茶事は、お茶碗をはじめ
すべてガラスのお道具立てという
めったにお目にかかれない景色の中、

冷たいものを頂かなくても
こんなにも涼しい気分になるものかと感動しました。

今月の重陽の節句のお茶事は、亭主のお着物から
お菓子、お菓子器に至るまで、菊づくしのお道具立てで、

毎回亭主のおもてなしの尊いお心がひしひしと伝わり、
頭が下がる想いになるのでした。

江戸幕府から始まった五節句の風習では
植物(重陽の節句は菊)が邪気を祓うという

無病息災の願いも込められています。

京都平安堂さんの表装によるお掛け軸は、
大徳寺住職の揮毫「掬水月在手」

重陽の節句のお茶碗にて最後にお出し下さったお白湯に
中秋の名月を妄想して浮かべてみた。


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2016年09月11日

弦楽の響きに癒される秋

最近は、食事の時や夜のリラックスタイムに観る
パラリンピックの選手たちに
オリンピック以上の感動と勇気をもらっています。

ハンディのあるところからスタートして、
健常者以上に努力・修練を積み重ねた人たちだ。

弦楽器を習得する道にも通じるものがあります。

さて、五嶋みどりさんのチャイコフスキー協奏曲を
鑑賞してきました。

努力・修練を積み重ねて舞台に立つ姿がここにもある。

メンデルスゾーンと共に好きな曲のひとつだから
生演奏を聴く時間は特別だ。

超絶技巧の難曲を巧く弾くなーという感じの演奏ではない。

技術的な難しさから完全に解き放たれて、
全身で音楽表現のみに集中する表現者と云おうか。

求める音色を紡ぎだすために
覚え込ませた身体が躍動する姿は
鍛え上げた舞踏家のようだ。

6月にもみどりさんの演奏を聴く機会があって、
その時はリスト、モーツァルト、クライスラー、シューベルト
でしたが、

それぞれの曲想に即した音色と
やわらかいタッチが印象的でした。

今回も時に、海へ急降下して魚を捕まえる鳥のように
弓が弦にアタックするのだけれど、

実にいいニュアンスの音色です。

幸運なことにアンコールで
バッハの無伴奏を2曲聴かせてくれました。

教科書的ではない、アイデンティティーのあるバッハは
目頭が熱くなり、心に沁みました。

もうひとつ、広上淳一さんの指揮による京響が
アンコールとして聴かせてくれた武満徹のワルツ。

僕は初めて聴いて気に入りました。
帰って調べてみたら、
映画「他人の顔」(1966)で使われた曲のひとつらしい。

最近仕事の合間に機会を見つけて鑑賞するのは
チェロをはじめ、チェロ四重奏や弦楽四重奏なんだけど、

この弦楽合奏の音の重なりでできる
温かくて深みのある音色に癒されます。


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posted by Koji at 16:36 | TrackBack(0) | 音楽

2016年08月28日

充実の夏の現場から

今年の夏は2件現場が始まりまして、
現場で過ごすことが多かった。。。

早朝に起床し、料理をして朝食をしっかり摂り、、、
弁当を持って現場に出掛ける。

夏の現場の一日は、
ミネラルウォーター2リットルをいとも簡単に消費する。

現場から戻れば、ゴミなどの片づけ、設計や段取り、、、
そしてチェロの練習。

日没とともに休息に入るわけではないけれど、
案外サーカディアンリズムな毎日だ。

現場でも最近はトンボを見掛けるようになり、
あれほどいた蚊も減ってきた気がする。

現場生活から季節の移ろいを感じるのでした。

1472304667.jpgリフォーム現場ではドイツから取り寄せた
電磁波電界シールド材を

外壁面すべての壁と
最上階の天井に敷設した。


これは外部から建物内に透過してくる高周波を遮蔽し、
内部の高周波と屋内配線から発生する低周波を吸収して減衰し、
伝導性テープでアースと連結させて、逃がす仕組みだ。

無線通信網の利便性を最優先して
負の側面を顧みない文明社会日本の中では、

かつて人類が経験しない電磁波を
あらゆる場面で四六時中浴びていることは事実で、
活性酸素を放出させやすい環境だと言える。

最近は田舎へ逃げれば大丈夫とは言えなくなった。

世界ガン研究機関が携帯基地局などから出るマイクロ波に
発がん性の可能性を認定して5年経つけれど、

国が定めた電力密度の安全基準は
高周波規制を始めているEUのなんと1万倍。
これは人体の許容範囲を越えている。

EUの国々がマイクロメーターを見送ったり、
高周波規制に乗り出している動きと逆行して

日本では介護・医療・学校でさえ
無線LANによるユビキタス社会を国策とし、
高速通信技術をさらに加速させている。。。

この話題はこのぐらいで切り上げて。

工程の最後にはガラス面にもシールドフィルムを貼り、
シールドカーテンを併用します。

これで25年前の電磁波レベルにはなるだろうか。

猛暑の中、壁に貼った電磁波シールド材を貼ってから
明らかに輻射熱の体感が変わった。

思いがけず、遮熱効果もあるようだ。

住宅は、健康な人生を過ごすための基本的な生活の居場所であり、
しかも、安らぎ、寛ぎ、癒されるべきで、
いつまでも飽かずに楽しめるところだ。

それには身体感覚に基づいた
自然の素材で生成される表現にすべきで、

内部空間こそが住宅の本質だ。

1472304708.jpg今現場は天然の木に囲まれてきたけれど、
住む人の前に、僕ら現場で働く職人に
エネルギーを与えてくれている。

すべての壁に木を貼り終えたら、
床には天然のマーモリウムを貼り、

薪ストーブ廻りのレンガ貼りや煙突工事も
これからだ。

そして棚、テーブル、机等
すべて壁と同じ木で手作りしていきます。

1472468511.jpg注文して挽いてもらった木材を
大工さんの作業場で、
1週間プレーナー掛けしています。

かなりのボリュームがある木たちを
加工できる広い作業場があることが有難い。

木屑の量も半端ない。

木は削ってみないとわからない。

機械に掛けるとは云え、何度も削り木を見て、
同じ樹種でも個性の違うひとつひとつの材料を生かす。

親密に木と接すると、材木屋さんが苦労して適材適所に
少しでもいい材料を届けたいという想いがわかる。

自分で木を一枚一枚機械に通しながら感じるのは、
建築というのは自分の姿が忠実に映るもので、

作り手の生活に偽りやうそのないものであれば、
最善を尽くして誠実に生きる生き様が鏡のように反映するということ。

たぶん同じ木の表現でも違ってくるし、
お施主様はそのなにかを感じて
暮らしてもらえるのではないかと信じています。

1472304766.jpgもう一つの現場は新築で、
こちらも猛暑の夏始まりました。

海外とか国内とか建築に区別はないけれど、
この建築は現地で産出する石を
外壁や土留めに積み、

内部は木と現地で調達できる土と天然のマーモリウムで造り
外壁の石が内部にも連続します。

壁の中や屋根面、床の断熱にも空調設備を備えた天然の素材を使い、
外部の建具もすべて木でつくる二重の建具です。

この土地に生えた樹木のように有機的な自然の風景となるためには
本物であらねばならない。

廻りの自然環境に調和してくれるだろう六角形の空間を
楽しさや豊かな生活に貢献するように設計しました。

当初は別荘であるけれど、永住の住まいとしても
日々の生活で季節、昼夜、様々な楽しさを発見してもらえたら嬉しい。

僕の考えた表現が形になるまで
まだまだ建築の日々が

つづく。


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posted by Koji at 15:25 | TrackBack(0) | 現場

2016年08月02日

特別展古代ギリシャ

ルネサンスの天才も近代絵画の巨匠も
古代ギリシャからインスピレーションを得て、
創作の源がここにある。

古代ギリシャの遺産は、
まさに永遠の美の源泉、人類の宝だ。

ローマの葡萄畑からラオコーンが出土した時、
ミケランジェロは芸術の奇跡と言った。

1470199419.jpg斬新なモチーフとフォルムの土器。
繊細な装身具の工芸技術。

歴史上の芸術家に引けを取らない
名もなき陶工、陶画家、金細工職人たち。

僕はアッティカ黒像技法の人物画が好きで、

ルーブル美術館でも多くの作品を見ましたし、
ルーブルにはヘレニズム期における彫刻の傑作があります。

古代ローマ人はギリシャ彫刻のリアルな官能表現に魅了された。
ロダンも古代彫刻に魅了されたひとりだ。

僕は浮彫りも好きで、パルテノン神殿の浮彫り彫刻は、
大英博物館等でもたくさん見ました。

男たちは食べるために戦う戦士。
ゆえに肉体を鍛え、人間の肉体美を追求した。

芸術には富が不可欠だけど、
職人たちの人間本来の信仰心によるところが大きい。

古代ギリシャへのリスペクトは美術だけではない。

古代ギリシャ人は、都市国家を形成し、
建築、哲学、数学、天文学、医学、文学、
演劇、オリンピックの礎を築き、民主政治を行った。

法律の下での平等、言論の自由、選挙、裁判が行われた。
真実を探究し、知性と野生のバランス感覚を持ち合わせた。

現代社会の礎を築いた古代ローマ人のインフラ技術も
これらの人材を輩出した教師は古代ギリシャ人だった。

アレクサンダー大王は13歳から、
アリストテレスから教育を受けているし、
カエサルもアウグストゥスもギリシャ人教師に学んでいる。

古代ローマの元老院の影に古代ギリシャ人あり。

古代ローマの医師はギリシャ人の仕事だった。

アルキメデス、ヒポクラテス、、、
ピタゴラスは地球は丸いと言った。

紀元前にすでに地球の円周の長さを求めている古代ギリシャ人。

今回の古代ギリシャの芸術を通して、
一神教でない時代の人間の能力の高さを改めて窺い知るのでした。

1470203462.jpgギリシャ神話やホメロスの世界は、
その後のヨーロッパ市民の
一般教養のひとつだけど、

それに登場する英雄たちに魅せられた
シュリーマンのような発掘した人と

それを大事に保管する人がいなければ
今日の鑑賞は叶わないわけで。

今回火山灰に埋もれてたことで、
3700年前の色鮮やかなままのフレスコ画には心躍りましたが、

引き続き、火砕流に埋もれたポンペイの壁画展が楽しみです。


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2016年07月15日

アンドリュー・ワイエス水彩・素描展

現在国内外のプロジェクトが同時進行しており、
先月より早朝から日暮れまで現場仕事で汗して、
夜は計画図面等、充実した日々を過ごさせて頂いております。

独立して16周年の今日は、久しぶりに現場を離れて、
アンドリュー・ワイエス水彩・素描展へ出掛けてきました。

1468582127.jpgオルソン・ハウスでの
人の普遍的な営みや息づく風景、
何気ない対象物への感受性と質感は、

工業製品をまとった模造品の街並みに暮らす僕の胸に
失われた温もりを感じる風景を
取り戻したい欲求とともに
強烈な美の輝きとしてよみがえる。

感動した風景の記憶を本質的なものだけにそぎ落とし、
色調を抑えた茶色や灰色や余白の白を基調に

細部のテクスチャーと独創的な構図で表現された習作コレクションは、
日本の美意識にも通じる余白の魅力と精神性がありました。

青や赤や黄色を効果的に使う色遣いは
僕の好きなライトの建築と共通する。

アメリカの大自然を愛したお二人の共通点でしょうか。

ワイエスは油絵の重たい感じは性に合わないという。
バッハとシベリウスがお好きだったワイエス。

観覧の後、お出し下さった
メイン州に因んだブルーベリーの味は、
今日の良き日の思い出となりました。

バッハの無伴奏とともに。


司建築工房

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