2016年12月16日

阿蘇現地視察

この度の熊本地震でお亡くなりになられた方々、
そのご遺族の皆様に対し謹んでお悔やみ申し上げますとともに
被災された皆様方に心よりお見舞い申し上げます。

今回被災されたお施主様の住宅再建のために
現地視察に訪れました。

解体は市の公費解体を利用し、
現在仮設住宅にお住まいです。

洗濯機が外なのが不便ですが、
建替えの話ができることは希望です。

1481872109.jpgまず肥後一の宮の阿蘇神社にご挨拶。

紀元前創建の歴史ある神社は、
重要文化財の桜門や拝殿の倒壊した姿は痛々しかった。


地元の方々は神社が犠牲になって自分たちをお守り下さったと。
身代わりになられた神様に心ばかりの奉賛をさせて頂き、
阿蘇の復興の象徴となる事を望みます。

現在解体のための足場が架かり、
使える木材はすべて丁寧に解体され再興されます。
ちなみに再建には10年20億かかるという。

さて、阿蘇市の大動脈国道57号線と
それに並行して走るJR豊肥線は土砂崩れで、

依然として復旧の目途が立っておらず、
遠回りの迂回路で渋滞が余儀なくされている。

1000回以上続いた余震がようやく落ち着いて
屋根等の修理依頼が殺到。

補助金が出るんだけど、期限が当初12月に切られて、
とてもこなせる数ではなく来年3月まで延期になったけど、
それでも職人が足りず復旧は進まず、無期限になるのだとか。

こんな状況の中、県外から悪徳業者がやってきて、
半日の日当が3万5千だと言って、しかたなく頼んだら
大学生のアルバイトを連れてくる始末。

困っている人を食い物にする輩が多いのだとか。

1481872082.jpg僕は信頼のできる工務店の方を
紹介してもらえて、
お施主さんとの顔つなぎもできた。

お施主さんに車で案内して頂くと、
常に山の頂きが平らな山並みがぐるっと
街を取り囲んでいる風景がある。


1481872140.jpgこの外輪山が取り囲む
巨大な円形広場のような阿蘇の街は、
広大な阿蘇カルデラそのもので、

火山噴出物が大量に噴出して、
地下のマグマだまりに空洞ができ、
地面が陥没したクレーターらしい。

火砕流や溶岩の大地に水が溜まり、
湖だった時代もある聖地のような場所だ。

1481872056.jpgその昔、阿蘇の街を取り囲む
外輪山が裾野の巨大な山が噴火して、
噴出物が長崎や佐賀まで飛び散った。

つまり阿蘇の山の噴火で
九州ができたくらいの
巨大な山の噴火だったという。

阿蘇は多孔質な岩石の地質から
ミネラル豊富な伏流水に恵まれ、
1500以上もの湧泉が分布している。

お施主さんの敷地もこの伏流水の恩恵を受けており、
被災しても水には不自由しなかったそうだ。

僕が泊まった民宿も蛇口からはすべて阿蘇の天然水だった。
伏流水で育まれた産地の食材は美味でした。

これから阿蘇地方の復興の一助となるように
取り組んでいきたいと思います。

負けんばい、熊本!


司建築工房

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2016年12月06日

casa grotta HP UP

久しぶりに完成後写真撮影ができましたので、
ホームページにアップしました。

これはシューズボックス型の3階建ての住居の内部を
全面改装したものです。

1480928986.jpg白いビニールクロスと既製品のドアがついた
物件だったけれど、

洞窟状の空間は、
やりようによっては魅力的なものになる。

壁を取り去り、照明・LANのハブ構築、
電磁波対策をしながら、

1480928745.jpg床はすべてリノリウム。
1階の壁・天井は桐、2階はレッドシダー。
ストーブ廻りは煉瓦。

レッドシダーは家具もすべて材木から挽いてもらい、
大工さんと一緒にプレーナー掛け、面取りをして
愛着をかけた木たちだ。

この空間に山の精、山のスピリットを注ぎ、
樹の洞窟にしようというのが、そもそもの発想だった。

1480928891.jpgお施主さんの生活スタイルを
自らの文法で家具や内部造作を形にした。

この空間に薪ストーブを設置したんだけど、

古代より家は母親の子宮を象っていて、
家の中にはかまどがあった。

1480929027.jpg
ローマ時代、洞窟は大地を母と敬う信仰から生まれ、
洞窟を母の胎内、命の源と見立てた。

ルネサンス時代、人々はキリスト教以前の時代は
おおらかで豊かだったのではないかと
古代の理想を探し始める。

ローマ時代のネロ皇帝の住居跡を掘ってみたら、
グロテスクの語源となった
グロッタ模様の世界が広がっていた。

1480928460.jpgルネサンスで人間解放が謳われてから
王侯貴族は競って、
古代の理想グロッタを作った。

ロシアのピョートル大帝も早速流行を取り入れ、
宮殿に自分の息抜きのための
秘密の場所を作らせた。

ペテルゴフのゴロッタはほぼ完全な形で残っている。

1480928502.jpg19世紀までは建築を作る時、
人は自然信仰の力を借りた。

自然を肯定し、人間も自然の一部であるという
グロッタの精神で作り上げた内部空間は
僕の仕事の魂です。

大地と繋がり、原始的な力を持つ素材たちが、
人の心を揺り動かす建築。

1480929745.jpgこの安らぎに満ちた
静謐なハーモニー、

自然と建築と人間が
融合した暮らしの中で

新しい喜びを
日々発見していくことを願って。

敬白。

司建築工房

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2016年11月18日

現場は時間と空間を超える

紅く染まった山々を車窓から楽しみ、現場へ着くと

僕の愛する建築が美しい石積みを纏って、
大地の上で出迎えてくれた。

1479471510.jpgすっかりこの場所に
馴染んでいるように見える。

鳥たちが自分たちのために
世界が時間と空間を
用意しておいてくれたことへの

喜びと感謝を歌うように、

僕はこの感動の時空を胸に刻み、
地霊に感謝と引き続きの祝福をお願いした。

この石はある山で採れた貴重な石で、
今では採掘が禁止になっていて、
文字通り最後の石なのだそうだ。

1479471547.jpg貴重な石はこの建築がある限り
語り継がれることだろう。

そして石積み職人は有名な腕利きで、
ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、
世界中から呼ばれるとのこと。

彼の仕事は一日に一坪しか進まない。

場面場面で素敵な遊び心とリズムを取りながら
その場所に相応しい形の石を見付け出し、

時に加工し、形造っていった仕事の跡は
見る者を釘づけにする。

写真に収めたい衝動に駆られた僕の脚の上で
橙や黒のてんとう虫たちが、
羽根を広げたりしてずっと踊っている。

1479471577.jpg茶色がかったグレーの石。
窓廻りの造形イメージ。

素材の質と色でこの建築のクオリティが決まる。。。
色々お伝えしたけれど、

監督がこの職人を人の紹介を通じて
引っ張ってきてくれたことは、
思いがけない幸運な出来事だった。

シモサカサン、このデザインの発想は
精霊が降りてきたのか、と監督が聞いてきた。

それはどうかわからないけど、
この土地に立った時、
四角いグリッドじゃないって直感したことは確かだ。

1479471631.jpg建築はどうしても自然にはない
直線になるのだけれど、

幾何学で自然に少しでも
寄り添いたいと想っている。

この図面を見た時、今まで見たことのない
面白そうな建築だと思ったけど、

いざ施工してみると大変で逃げたくなった、
と笑いながら語る監督の表情は
前回よりも緩んでいる。

監督は続けた。
この建築が完成したらたぶん
シモサカサンと同じ気持ちを味わえると思う。

まだまだ内装、建具、設備、家具と来年まで現場は続きます。

1479471681.jpg図面を読み切れていない部分を
再度説明したり、
ひとつだけ手直しもお願いした。

浴室の壁、浴槽廻り、床のスノコも図面通り
クレームを恐れず木でやってほしいこと。

ストーブの煙突の施工、キッチンの屋根排気、
トップライトの通気ガラリ、建具と硝子、
マーモリウムの施工、家具の共通納まり。。。

色々お伝えして、完成は楽しみだけど、
早く終わってしまうと淋しくなる、
そんな現場をあとにしたのでした。


司建築工房

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2016年11月15日

竣工の火入れ式

現場は養生シートを撤去し掃除をして、
カーテンを取り付けました。

レースのカーテンは、
電磁波シールドカーテンになっています。

現在製作中の椅子等納品が残りましたが、
お施主さまは、遊び心のある家具や全体の調和と色遣いを
大変気に入って下さいました。

1479129432.jpg街の木々が色づきはじめた秋の日、
無事竣工を迎え、
薪ストーブの火入れ式を行いました。

お施主さまに記念すべき点火をして頂き、
火のある生活の幕開けです。

暖炉屋さんも絶賛の
床強度と壁の防火構造、

そして断熱材の入った二重煙突で
施工した薪ストーブは、

木もガスも煙もちゃんと燃えている
素直な炎を見せてくれました。

優しく暖めてくれる熱を身体に感じ、
揺らめく炎を眺めていると話が弾みます。

1479129348.jpg人類は新石器時代に家の中に炉を作った。

これこそ失われつつある民家に続いた
人が住む家の本質です。

自然と人間の文化が合わさる場所で
美しい炎を熾す美学。

人間のキリなき欲望と歴史や自然を無視して
効率のみを追求する、資本主義経済の行き詰まりと同様に

ここまでやるかという便利な家電や
空調さえあればいいという発想の家では、

人としての生活の温かみや心の豊かさを育む
本来の家の本質からかけ離れてしまっています。

1479129396.jpg太陽エネルギーによって育まれた
木と人が

大地の上で
本性のままに融合する。

この哲学を
これからも形にしていきたいと想う。


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2016年11月11日

感動の無伴奏チェロ

初めてアリサ・ワイラースタインの
無伴奏チェロリサイタルに足を運んだけれど、
感動がいつまでも続いています!

前から4列目の席で、
最初の美しい生の音色を直接身体に浴びて
たちまち演奏に引き込まれました。

超絶技巧もさることながら、
基本の音自体が美しい。

使用楽器はドメニコ・モンタニャーナとのことだけど、
熟練したボーイングの技術あっての音色だ。

終始涙が出そうな感動で、
演奏者の発するエネルギーだろうか、

20世紀の作曲家の作品では
チェロで表現できる最大限の魅力的な世界を堪能して、

バッハも情熱的かつ内省的に
チェロと一体化した音楽が会場に紬ぎ出されて、

素敵なひと時を魂に刻みました。

音楽を通して人は人のための
特別な時間と空間を作り出す。

銃弾の飛び交う中で最後まで演奏活動をやめず、
ファシズムに抵抗し続けたパウ・カザルスが思い浮かんだ。

13歳のカザルスは埃にまみれた
バッハの無伴奏チェロ組曲の楽譜を古書店で見つける。

彼は奏法を改革し、チェロを歌う楽器にした。

1479208690.jpgアンコールは2曲
バッハを聴かせてくれました。

バッハの音楽は時間と空間を超える。

チェロ1本での
深く豊かな表現力。


感動を与える音楽は、観客に訴えかける
人間力なんだと思う。

演奏終焉後のサイン会での
自分の順番の間、

僕は英語で感動を伝え続けた。


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2016年11月04日

現場は最終章へ

常任指揮者の僕としては最後のフィナーレに向かって
これまで積み上げてきた集中力で
職人合奏を指揮しています。

毎朝現場までの車中は、ヴィヴァルディの四季♪

今年のクリスマスにチェロで参加することもあるんだけど、
テンションが上がります。

1478266373.jpg現場は薪ストーブと煙突を設置し、
スイッチ、コンセント、ライトを取り付け、
現場に照明が灯りました。

大工さんが残りのテーブル2つとソファ台、
ベットの組立て、階段の手摺、タオル掛け、
全て壁や家具と同じ木で製作しました。

1478266442.jpg
建具屋さんが引出の取付け、
エアコンガラリ、建具の吊り込み。

それに塗装屋さんがオイルフィニッシュ塗り。

掃除屋さんにガラス窓を中心に
掃除してもらい、

ガラス面にあらかじめカットしておいた
電磁波防止フィルムを貼ってもらいました。

最近は、銀行通帳やカードの磁気が
壊れるケースが急増していて、

携帯電話をはじめ空気中の電磁波放射量が
格段に増えているのが原因という話を
行員の方から聞いたのでした。

外国人観光客の拡大に向けた街の無料公衆WIFI化や交通網など
街に出たら電磁波に晒される世の中で、

避難場所としての住宅を考えなくてはならなくなった。

1478266506.jpg今週は胡桃割り人形の第2幕のようで、
職人が帰った後、
毎日掃除と翌日の現場の準備で、

先週末から今週もずっと
現場に張り付いています。

実は僕も一奏者でもあり、ワーロンシートを
カットし、曲げ加工を施し、貼り込みました。

1478266411.jpg最上階のテラスから大都会を眺める以外は、
閉じた建物なんだけど、

壁を隔てた内部は街にはない大地から繋がる
自然の息吹を感じて、外の喧騒を忘れます。

お施主さんの好きな山のエネルギー、
山の空気を感じてもらえる空間。

職人さんが、頭の中でどう考えたら
こんな建築になるのかって聞いてくれた。

確かに頭の中で考えたことが現実になるんだけれど、

「建築家は建物を使う人、そこに住む人の気持ちを
汲み取ることに尽きる」

急に冬が到来したような一週間でしたが、
家に帰ると暖炉に火が揺らめいていた。


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2016年10月21日

家具が生まれる現場

金木犀の薫りを風が運んでくれる秋の現場では、
日々大工さんが造作家具を手掛けています。

1477015816.jpg床と壁と天井で囲まれた空間を
創造するだけでは、

施主のことを考えた
建築家としての仕事とは言えない。


施主が望む以上の、機能的で快適な暮らしを提供したいから

考え抜いた寸法で、
内部造作も家具も一貫した文法による
素材とデザインで設計してある。

この現場では22個の家具が作られるのだけれど、
家具は建築と調和したものでなければならない。

そして照明も壁と天井と一体化して一部となる。

1477015701.jpg僕は、しょっちゅう現場に出向き、
大工さんのそばにいて、
完成形の納まりを助言している。

傍らで大工さんの仕事を見ていると
ひとつの部材ごと、水平、垂直、際を揃え、
強度と美しい仕上がりを考えながら、

ひと手間ひと手間作り上げていく仕事に
有難さで胸がいっぱいになる。

1477015744.jpg生命力のある素材で統一された現場では
職人さんも魅力的だ。

内部空間と全ての家具が調和した生活は、
素材への美と尊厳を感じ、自分たちの環境に
誇りと感謝を抱くことだろう。

1477015783.jpg

今、ソファと椅子の張り生地を海外から取り寄せて、
世界にひとつのソファと椅子を製作する。

誠実な仕事が誠実な環境を生み、
誠実な人の人生を助けるのだ。


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2016年10月06日

現場はモチベーションの源

人が愛着を持つのは形あるものだけではない。
感動しながら描いたアイデアこそ愛着がある。

CADからアイデアが生まれるわけではなく、
敷地を取り巻く環境から生まれてくるのだけれど、

大陸の山の中腹にある高低差に富んだ敷地には、
直角ではなく斜めのグリッドで作り出される建築が馴染むと直感した。

1475746177.jpgそしてプランを練り上げ、
構造から工法など、
自分の考えた建築が、

海外の地に海外の職人の手で、
おおかたのフォルムが形作られた。


1475746003.jpg鳥が自然に歌いだすように
素直に自己をゆだねていると

色んな場所からこの建築を眺め、
感動の波が打ち寄せてくるのでした。


1475745839.jpg職人さん自らが、
清浄な山でしか採れない

風の音と朝露だけで育つ
貴重な食材を採取し、
差し入れてくれたのも感動した。

皆で囲んで、秋の平穏な気で満たされる。

食事を共にしながら監督さんが、
こんな面倒な建築はこれが最初で最後だ。

1475745922.jpgでもこの建築が完成したら、
めったに見ることができない
美しい建築になる。

個人的な物件でなければ、
何かの賞がもらえるのは
間違いないだろう、と云った。

またある方が、シモサカサンの芸術作品は
お金では買えないものだ、と言って下さった。

1475748499.jpgこういった言葉こそ僕にとって
お金では得られない価値がある。

関わる人たちから愛情をかけてもらえること、
慕ってもらえることは、異質の喜びだ。


そう、僕はお金で買える建築には興味がないのだけれど、
この愛する建築はここからが面白い。

1475746090.jpg五角形の屋根を葺き、外部に石を積み、
多角形の内部に木を張り、
石を積み、土を塗る。

そして土で床暖房を作りながら床を仕上げ、
建具や家具をすべて木でつくる。

暖炉と煙突もつくだろう。

1475745738.jpgここにこのまま滞在して
しょっちゅう現場にいたい気分だけれど、

納まりも作り方もお伝えしたから、

監督さんはじめ職人さん達に
引き続きお願いして、

この度の経験で得た
秋の収穫を持って日本に戻ります。

1475746277.jpgまた来月の現場を楽しみに。

この建築が完成した時、
大自然の延長として生命感のある

魂の愛を語りかけてくるとすれば、
それは作品と呼んでもいいかもしれない。


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2016年09月21日

足の裏で幸せを感じる現場

世の中に花から生まれる床材がある。

初夏に青い亜麻の花が咲き、
咲いた後の種から亜麻仁油が摂れる。

そして亜麻仁油はリノリウムの原料になる。

亜麻仁油にコルク、木粉、石灰岩を混ぜ圧着して、
長尺床敷材リノリウムが作られるのだ。

1474466115.jpg裏にはジュートが使われ、
素材に柔軟性を与えるため

石油化合物ではなく、
松の樹液が使われている。

現代のコピー&ペーストのプリント技術では
表現できない天然の柄は、

バッハの音楽のようにリピートがなく、
生成を続けて飽きることがない。

そしてマットな色彩も魅力的だ。

合成顔料や重金属を一切使用せず、
天然色素で色付けされているからだ。

1474544205.jpg今残念ながら日本には、
石油系のビニール床材しかなく、

床の長尺材で天然のものを扱うメーカーは
なくなってしまった。

昔は郵便局や百貨店などの床に使われていたけど、
東京丸の内ビルに土足遣いで、
すでに60年使用経過しているものがあって、

その耐久性は実証されている。
医療施設などの実績でもクレームがないようだ。

抗菌性、清掃性にも優れ、
100%土に還る。

元々土足の文化ヨーロッパで生まれたリノリウムだけど、
素足の日本の家屋にも使わない手はない。

転倒時の衝撃吸収性に優れているし、
とにかく足の裏が気持ちいい。。。

ちなみに亜麻の茎の繊維からリネンができるんだけど、
人類最古の繊維で、ランジェリーの語源にもなっていて、

1474616884.jpg肌に優しくサラッとして、
コットンやシルクに比べて、
吸水性・発散性に優れている。

繊維の中には空気が含まれているから
保温性もあり、オールシーズンに適している。

リノリウムも湿気の具合で色の濃淡ができるほど、
確かに呼吸していて、下着のような心地よさがある。

施工はやはりビニール床材より曲りにくいから手間はかかる。

今回は暖かい季節だからよかったけれど、
冬にはトーチであぶりながら、
ならすのにも時間がかかる。

今回も狭いトイレの床だけは
型を取ってカッティングしてから貼った。

壁を傷付けるからだ。

1474544265.jpg想像した通り、木との相性は抜群だ!

天井の木の流れに合わせて、床も長手方向に
目地を堀り、溶接でラインを作る。

掃除と2度目の床養生をして
また真っ新な現場になった。

床が浮いている箇所発見。
掃除と床養生は、職人さんの仕事の跡を確認し、
チェックも兼ねる。

来週から再び3人の大工さん、
仕上げ工程の職人さんたちを迎えます。

長くなったので、

つづく。


司建築工房

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2016年09月20日

現場は最高のアトリエ

建築を考え、建築を作る、
人生にこんな楽しい生き甲斐があるだろうか。

壁と天井に生命感のある木を張った現場にいると、
人を温かく包み込む普遍的な安心感があります。

本物のクオリティーを持った建築を提供できる
意義ある仕事に喜びを感じるものです。

無垢の木と長く付き合っていくために
塗装は欠かせません。

木の調湿作用を妨げることなく、木の質感を活かす
浸透性の植物オイルを塗りました。

オイルフィニッシュならではのしっとりとした仕上がりで、
乾拭きでメンテナンスしていきます。

1474265018.jpgストーブ廻りの炉台と炉壁は、
下地の胴縁を含めて

不燃材で二重空気層構造にして、
耐熱・防火対策をしてあります。

燃焼装置・暖房装置として
その能力を発揮するために

デリケートな通風計画が大事で、

建物全体で微差圧を測り、
給気口を調整しました。

ブリックは焼き物ならではの自然なムラと粗面なもので、
出隅の曲がりを特注の寸法で焼いてもらい、

このブリックを引き立たせるための目地は、
骨材を混ぜたザックリとした白系のブリック目地で、

ブリックの厚みを消さないように
深目地で陰影を出します。

1474356063.jpg床にマーモリウムを貼るため
ひとまず床養生を撤去して掃除。

これまで解体、電気配線のやり変え、
電磁波シールドシート張り、

空間の形を変え
本物の木を張ってきた現場の
床養生が一つの役目を終えました。

将来的に下地の細かい凹凸が出ないように、床のパテ補修を行い、
ケレン・掃除をして、マーモリウムの仮敷きとカッティング。

1474459170.jpgマーモリウムを貼りつける前に、
下階の分電盤、

電灯配線・照明器具からの
低周波磁場を遮蔽するために、

シールドシートを敷き込みました。


1474265044.jpg大工さんの作業場では、机やテーブルなどの
家具製作にかかっています。

一貫性のある文法でデザインした家具が
生れてくることはとても楽しみです。

今回は家具屋さんではなく、
製材で挽いてもらった無垢材を使って、
大工さんにすべての家具を製作してもらいます。

手作りで形作られていく過程は
かけがえのない僕の生き甲斐だ。

つづく。


司建築工房

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